夏の子連れ旅行で気をつけたい水辺の事故予防
夏の子連れ旅行では、海や川、プール、水遊び場などを楽しむ機会が増えます。一方で、水辺では浅い場所でも子どもが溺れることがあり、短時間目を離した間に事故が起こる可能性があります。
子どもの溺水は、大きな声や水しぶきを上げて助けを求めるとは限りません。静かに沈むこともあるため、近くに大人がいるだけでは十分ではなく、子どもから目を離さずに見守ることが重要です。
この記事では、夏の子連れ旅行で気をつけたい水辺の事故予防について解説します。
水辺では子どもから目と手を離さない

海や川、プールでは、大人が子どものそばにいて、すぐ手を伸ばせる範囲で見守りましょう。
スマートフォンを見る、荷物を整理する、きょうだいの世話をする、大人同士で話し込むといった短い時間でも、監視の空白が生まれます。水遊び中は、見守る大人を明確に決め、その人は監視に専念することが大切です。
特に注意したい場面は、次のとおりです。
・大人が複数いて、誰かが見ていると思っている
・浮き輪を使っているため安心している
・浅い水場なので危険はないと思っている
・着替えや荷物の準備をしている
・きょうだいを別々に見ている
・プールサイドや水際で遊ばせている
家庭用のビニールプールでも、わずかな水深で溺れる可能性があります。水が浅くても、必ず大人が付き添いましょう。
大人が交代するときは、「今から見ていて」と声をかけ、相手の返事を確認してからその場を離れると、見守りの抜けを防ぎやすくなります。
海や川では体に合ったライフジャケットを着ける

川遊び、磯遊び、釣り、ボートなどでは、子どもにライフジャケットを着用させましょう。
ライフジャケットは、持っているだけではなく、体の大きさや体重に合ったものを正しく着用する必要があります。ベルトや股下のストラップを締め、持ち上げたときに頭から抜けないことを確認してください。川では膝ほどの水深でも流されることがあるため、浅く見える場所でも油断できません。
確認したいポイントは、次のとおりです。
・子どもの体重や胸囲に適合している
・すべてのバックルを留めている
・ベルトが緩んでいない
・股下ベルトがある場合は正しく通している
・破れや部品の劣化がない
・遊び始める前から着用している
浮き輪やアームリング、ビーチボールは遊具であり、ライフジャケットの代わりにはなりません。風や流れによって沖へ流されることもあるため、浮き具を使っているときも大人がそばを離れないようにしましょう。
海・川・プールごとの危険を確認する

水辺によって注意すべき危険は異なります。
海では、波、潮の満ち引き、離岸流、急な深みなどに注意が必要です。監視員やライフセーバーがいる海水浴場を選び、指定された遊泳区域の中で泳ぎましょう。遊泳禁止となっている場所や、河口、堤防、岩場の近くには入らないようにします。
川では、見た目が穏やかでも流れが速い場所や、急に深くなる場所があります。上流で雨が降ると、現在地が晴れていても急に増水することがあります。水が濁る、流木や落ち葉が増える、水位が上がるといった変化があれば、すぐに川から離れましょう。
プールでは、次のような行動に注意します。
・プールサイドを走る
・ふざけて押し合う
・許可されていない場所から飛び込む
・遊具や台の下にもぐる
・排水口や吸い込み口の近くで遊ぶ
・浮き輪の上に立つ
・混雑した場所で無理に泳ぐ
飛び込みやプールサイドからのジャンプは、頭や首の重大なケガにつながることがあります。施設のルールとスタッフの指示に従いましょう。
天候と子どもの体調が悪い日は水に入らない

水遊びの予定があっても、天候や体調によっては中止する判断が必要です。
次のような場合は、水に入るのを控えましょう。
・雷注意報や大雨の予報がある
・波や風が強い
・川の水が濁っている
・現地や上流で雨が降っている
・遊泳禁止や立入禁止になっている
・子どもに発熱や下痢がある
・寝不足や強い疲れがある
・食欲がなく、元気がない
・咳や息苦しさがある
・水を怖がっている
水遊びは想像以上に体力を使います。子どもが寒がる、唇が青白い、震える、動きが鈍い場合は、早めに水から上げて、体を拭き、乾いた服に着替えさせましょう。
暑い日には、熱中症にも注意が必要です。水の中にいても、日差しや暑さによる体への負担はあります。定期的に日陰や冷房のある場所で休憩し、水分補給を促してください。
「せっかく旅行に来たから」と予定を優先せず、少しでも危険を感じたら水遊びを中止することが大切です。
万が一のときは飛び込まず周囲に助けを求める

子どもが溺れているように見えたとき、泳ぎに自信のない大人が水へ飛び込むと、一緒に溺れる危険があります。
まず大きな声で周囲に助けを求め、監視員やライフセーバー、施設スタッフへ知らせます。119番への通報では、場所と状況をできるだけ具体的に伝えましょう。
岸から届く場所であれば、次のような浮く物や長い物を差し出します。
・救命浮輪
・ロープ
・ペットボトル
・クーラーボックス
・浮き具
・長い棒
助ける人自身が水へ引き込まれないよう、低い姿勢を取り、可能であれば周囲の人に体を支えてもらいます。
水から引き上げた後、反応や普段どおりの呼吸がない場合は、119番通報とAEDの手配を行い、救急指令員の指示に従って心肺蘇生を開始します。事前に応急手当やAEDの使い方を学んでおくと、緊急時に行動しやすくなります。
一度水中に沈んだ、咳が続く、呼吸が苦しそう、顔色が悪い、反応が鈍い場合は、元気そうに見えても医療機関への相談が必要です。
まとめ:水辺では「近くで見守る・着用する・無理をしない」

夏の子連れ旅行で水辺の事故を防ぐために、次の点を確認しましょう。
・子どもから目と手を離さない
・見守る大人を明確に決める
・海や川ではライフジャケットを正しく着用する
・浮き輪を安全装置として過信しない
・監視員がいる場所や指定された区域で遊ぶ
・遊泳禁止、立入禁止の場所に入らない
・天候や水の変化を確認する
・体調が悪い日は水遊びを中止する
・プールサイドを走らせない
・事故時に助けを呼ぶ方法を確認しておく
水深が浅い、泳げる、浮き輪を使っているといった条件だけで、安全とは判断できません。
水辺では大人が手の届く範囲で見守り、子どもの体調や天候に少しでも不安がある場合は、予定を変更しましょう。
参考文献
『水の危険は近くにあります、みんなで危険回避!』(こども家庭庁)
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/cases/dekisui
『水まわりの事故』(こども家庭庁)
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/handbook/content-2
『子どもの水の事故を防ごう!―7月25日は「世界溺水防止デー」』(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_062
『もうすぐ夏本番!外出先での子どもの水の事故に御注意ください!』(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_051/
『家庭用プールでの事故に注意しましょう!』(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20200702/
『幼稚園等のプール活動・水遊びでの溺れ事故を防ぐために』(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/teaching_material/movie_001
『守ろう!いのち 学び合おう!水辺の安全』(日本ライフセービング協会)
https://elearning.jla-lifesaving.or.jp/
『心肺蘇生の実施方法について知りたい』(総務省消防庁)
https://www.fdma.go.jp/relocation/kyukyukikaku/oukyu/05kobetsu/index.html