登山やハイキングでは、普段より長く歩くことに加え、暑さ、寒さ、標高差、天候の急変などが体に負担をかけます。出発時は元気でも、疲労や脱水が重なると、途中で急に歩けなくなることがあります。

山の中では、体調を崩してもすぐに休憩施設や医療機関へ移動できるとは限りません。体力や経験に合ったコースを選び、体調が悪い日は登らないことが基本です。(政府オンライン)

この記事では、登山やハイキング旅行で気をつけたい体調管理について解説します。

出発前に睡眠・食事・体調を確認する

安全に歩き切るためには、山へ入る前の体調確認が大切です。

前日の寝不足、二日酔い、下痢、発熱、食欲低下などがある状態で歩き始めると、疲労や脱水が進みやすくなります。軽いハイキングであっても、普段と違う体調不良がある場合は、コースを短くするか中止を検討しましょう。

出発前には、次の項目を確認します。

・十分に眠れたか
・朝食を食べられたか
・発熱や強いだるさがないか
・下痢や嘔吐がないか
・頭痛やめまいがないか
・足腰に強い痛みがないか
・持病が安定しているか
・普段使っている薬を持ったか

登山者の体力、体調、経験に合わない山やコースを選ぶと、途中で動けなくなる危険が高まります。所要時間や標高差だけでなく、休憩時間、下山に必要な体力、同行者の年齢や経験も含めて計画しましょう。(政府オンライン)

子どもや登山初心者と歩く場合は、予定より時間がかかることを前提にします。山頂への到達を優先せず、疲れる前に引き返せる余裕を持たせることが大切です。

水分と行動食はすぐ取り出せる場所に入れる

登山中は歩き続けることで汗をかき、気づかないうちに水分を失います。気温が低い日でも、運動量や服装によって脱水になることがあります。

持っていきたいものは、次のとおりです。

・水やお茶
・スポーツドリンク
・予備の飲み物
・塩分を含む軽食
・おにぎりやパン
・ゼリー飲料
・あめや小分けの菓子
・必要に応じた経口補水液

飲み物はリュックの奥ではなく、歩行中でも取り出せる場所に入れます。のどが渇いてから一度に大量に飲むのではなく、休憩のたびに少量ずつ補給しましょう。

登山では昼食だけでなく、途中でエネルギーを補うための行動食も役立ちます。空腹のまま歩き続けると、集中力が落ちたり、足に力が入りにくくなったりすることがあります。食欲がなくなる前に、少量ずつ食べられるものを準備しておきましょう。

暑い時期は、こまめな水分・塩分補給と早めの休憩が重要です。めまい、頭痛、吐き気、筋肉のけいれんなどがあれば、日陰や涼しい場所へ移動して体を冷やします。(厚生労働省)

ただし、心臓病、腎臓病、高血圧などで水分や塩分の制限を受けている場合は、自己判断で大量に補給せず、事前に主治医へ確認してください。

脱ぎ着できる服装と雨具を準備する

山では標高や風によって気温が大きく変わります。歩いている間は暑くても、休憩中や山頂では急に体が冷えることがあります。

服装は、体温に合わせて調整できる重ね着を基本にします。

・汗を乾かしやすい肌着
・長袖のシャツ
・防寒着
・上下に分かれた雨具
・帽子
・手袋
・替えの靴下
・歩きやすい登山靴やトレッキングシューズ

汗や雨で衣類が濡れたまま風に当たると、夏でも体温を奪われることがあります。綿素材の衣類は乾きにくいため、登山では速乾性のある素材を選ぶと安心です。

雨具は、雨が降る可能性が低くても持参しましょう。傘だけでは、強風や足元の悪い登山道に対応しにくいことがあります。

体が震える、手がうまく動かない、受け答えがおかしい、歩き方が不安定になるといった変化は、体温低下が進んでいる可能性があります。濡れた衣類を替え、防寒着や雨具を着用し、風雨を避けられる場所へ移動してください。

登山に適した靴や脱ぎ着できる服装、雨具を準備することは、転倒や体温低下を防ぐうえでも重要です。(政府オンライン)

天気予報と雷の情報をこまめに確認する

山の天気は変わりやすく、出発時に晴れていても、午後に雷雨や強風となることがあります。

出発前には、単に降水確率を見るだけでなく、次の情報も確認しましょう。

・登山口と山頂付近の天気
・最高気温と最低気温
・雨や雪の予報
・風の強さ
・雷注意報
・気象警報や注意報
・雨雲レーダー
・登山道の通行情報

山頂や尾根など周囲の開けた高い場所では、落雷の危険が高まります。雷鳴が聞こえる、黒い雲が近づく、急に冷たい風が吹くなどの変化があれば、山頂を目指し続けず、早めに安全な建物や山小屋へ避難します。(気象庁)

大きな木の真下での雨宿りは、落雷時に危険です。雨宿りのために一本だけ高く立つ木へ近づくことは避けましょう。

スマートフォンは天気や現在地を確認するために役立ちますが、山では電波が入らないことがあります。モバイルバッテリー、紙の地図、登山計画書なども準備しておくと安心です。

悪天候が予想される場合は、出発時間を早めるだけでなく、登山自体を延期・中止する判断も必要です。

頭痛・息切れ・強い疲労を我慢して登り続けない

標高が高くなると、酸素が少ない環境に体が順応できず、頭痛、吐き気、食欲低下、めまい、強い疲労感などが現れることがあります。

次のような変化がある場合は、歩くペースを落として休憩してください。

・いつもより強い息切れ
・頭痛
・吐き気や嘔吐
・食欲がない
・ふらつく
・まっすぐ歩きにくい
・休んでも疲労が改善しない
・受け答えがおかしい
・咳や息苦しさが強くなる

標高の高い場所で症状が出た場合は、それ以上登らないことが重要です。休んでも改善しない、症状が強くなる場合は、可能な範囲で標高の低い場所へ移動し、救助や医療機関への相談を考えます。

また、標高に関係なく、胸痛、強い息苦しさ、意識の変化、片側の手足の動かしにくさ、繰り返す嘔吐などがあれば、単なる疲労と決めつけないようにしましょう。

登山中に体調が悪くなった場合は、転倒や道迷いの危険も高まります。前日まで元気であっても、山中で疲労や病気による体調不良が起こる可能性があるため、早めに行動を中止する判断が大切です。(政府オンライン)

自力で歩けない、意識や呼吸がおかしい、転落して大きなケガをした場合は、119番へ救助を要請します。現在地、登山道や山の名前、標高、目印、患者の状態、人数をできるだけ具体的に伝えてください。

まとめ:山では体調が悪くなる前に休み、早めに引き返す

登山やハイキング旅行では、体調が悪くなってから頑張るのではなく、悪化する前に休むことが大切です。

出発前と登山中には、次の点を確認しましょう。

・寝不足や発熱がある日は無理をしない
・体力や経験に合ったコースを選ぶ
・水分と行動食を取り出しやすい場所に入れる
・汗をかく前提で着替えや防寒着を準備する
・雨具を必ず持つ
・天気予報や雷注意報を確認する
・頭痛や吐き気があれば登り続けない
・疲れる前に休憩する
・予定より遅れたら山頂を諦める
・同行者の体調も互いに確認する

登山では、山頂へ着くことより、安全に下山することが優先です。

「もう少しなら歩ける」「せっかく来たから」と無理をすると、下山に必要な体力を失うことがあります。体調が普段と違う、天候が悪化してきた、予定より大幅に遅れている場合は、早めに引き返しましょう。

参考文献

『山の事故を防ごう!登山を楽しむために知っておきたい安全対策』(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/article/201407/entry-9829.html

『春山も天候の急変に要注意!山岳遭難を防ぐ3つのポイント』(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/article/201104/entry-7538.html

『熱中症を防ぎましょう』(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html

『熱中症が疑われる人を見かけたら』(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/happen.html

『急な大雨や雷・竜巻から身を守るために』(気象庁)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tenki_chuui/tenki_chuui_p1.html

『雷から身を守るには』(気象庁)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder4-3.html

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