子連れ旅行では、「このくらいなら様子を見てよいのか」「旅先でも病院に行くべきか」と迷うことがあります。

旅行中は、移動疲れ、寝不足、暑さ、食事の変化、人混み、慣れない環境などが重なり、子どもが体調を崩すことがあります。軽い鼻水や一時的な疲れであれば休息で落ち着くこともありますが、ぐったりしている、水分がとれない、呼吸が苦しそう、強い痛みがある場合は、旅先でも早めの相談が必要です。

特に子どもは、症状をうまく言葉で説明できないことがあります。発熱の高さだけでなく、機嫌、反応、水分、尿、呼吸、顔色を見ながら判断することが大切です。

この記事では、保存して見返しやすいように、子連れ旅行で受診を考えたいサインをまとめます。

発熱だけでなく「ぐったり感」を見る

旅行中に子どもが発熱すると、すぐに病院へ行くべきか迷うことがあります。

発熱そのものより大切なのは、子どもの全身状態です。熱が高くても、水分がとれていて、会話や反応が普段に近く、眠れている場合は、落ち着いて様子を見られることもあります。

一方で、次のような様子がある場合は、旅先でも受診を考えましょう。

・ぐったりしている
・呼びかけへの反応が弱い
・ぼーっとしている
・視線が合いにくい
・何となく眠りがち
・水分をほとんどとれない
・尿が少ない
・顔色が悪い
・けいれんがあった
・強い頭痛がある
・首を痛がる
・発疹を伴う
・生後数か月の乳児の発熱

子どもの救急外来受診の目安として、眠りがち、視線がおかしい、脱水症状、けいれんなどは注意すべきサインとして挙げられています。

旅行中は、疲れや寝不足で一時的に元気がないこともあります。ただし、「いつもの眠そう」と違う、「起こしても反応が鈍い」「水分をとれない」場合は、単なる旅行疲れと決めつけないようにしましょう。

嘔吐・下痢では水分と尿を確認する

旅行中は、食事の変化、乗り物酔い、感染性胃腸炎、食中毒、暑さなどで、嘔吐や下痢が起こることがあります。

まず確認したいのは、脱水のサインです。

受診を考えたいサインは、次のとおりです。

・水分を飲めない
・飲んでもすぐ吐く
・何度も吐く
・下痢の回数が多い
・尿が少ない
・半日以上尿が出ていない
・口の中が乾いている
・泣いても涙が少ない
・ぐったりしている
・強い腹痛がある
・血便がある
・高熱がある
・反応が鈍い

嘔吐や下痢では、体から水分が失われます。特に小さな子どもは脱水が進みやすいため、「水分がとれるか」「尿が出ているか」を必ず確認します。

嘔吐直後に一気に飲ませると、また吐くことがあります。飲める場合は、少量ずつこまめに水分をとります。

ただし、水分がとれない、何度も吐く、尿が少ない、ぐったりしている、血便がある場合は、旅先でも早めに医療機関へ相談しましょう。

呼吸が苦しそうなときは早めに相談する

旅行中の咳や鼻水は珍しくありません。

ただし、呼吸が苦しそうなときは注意が必要です。小さな子どもは、呼吸状態が悪くなっても「息が苦しい」とはっきり言えないことがあります。

受診を考えたいサインは、次のとおりです。

・息が速い
・肩で息をしている
・胸やみぞおちがへこむ
・ゼーゼー、ヒューヒューする
・唇の色が悪い
・顔色が悪い
・横になると苦しそう
・会話や泣き声が弱い
・水分をとる余裕がない
・ぐったりしている

咳があるだけで急ぐ必要がないこともありますが、呼吸が苦しそうな場合は別です。移動中や夜間でも、宿泊先のフロント、救急相談、医療機関へ早めに相談してください。

喘息やアレルギーのある子どもは、旅行前に吸入薬や内服薬を確認しておきましょう。普段使っている薬は、必要なときにすぐ取り出せる手荷物へ入れておくと安心です。

強い痛み・頭を打った後の変化に注意する

旅行先では、転倒、遊具、階段、海や川、テーマパーク、キャンプ場などでケガをすることがあります。

軽いすり傷であれば、洗って清潔に保ち、絆創膏などで対応できることもあります。

一方で、次のような場合は受診を考えましょう。

・強い痛みが続く
・歩けない
・手足を動かしにくい
・腫れが強い
・傷が深い
・出血が止まりにくい
・異物が刺さっている
・動物に咬まれた
・やけどの範囲が広い
・目の周囲を強く打った
・頭を強く打った

頭を打った場合は、その後の様子を観察することが大切です。特に最初の数時間は注意して見ます。受診を考えたいサインは、次のとおりです。

・意識がぼんやりしている
・何度も吐く
・強い頭痛がある
・けいれんがある
・歩き方がおかしい
・視線が合いにくい
・呼びかけへの反応が悪い
・普段と明らかに様子が違う

頭を打った後は、24時間、特に最初の6時間は変化に注意するとされています。

旅行中は「せっかく来たから」と予定を優先しがちですが、ケガの後に普段と違う様子がある場合は、観光を中断して相談してください。

発疹・アレルギー・虫刺され後の全身症状を見る

旅行中は、食べ慣れない食品、虫刺され、薬、日差し、植物、動物との接触などで、発疹やじんましんが出ることがあります。

発疹だけで元気な場合は急がないこともありますが、全身症状を伴う場合は注意が必要です。

受診を考えたいサインは、次のとおりです。

・発熱を伴う発疹
・全身に広がる発疹
・強いかゆみ
・顔や唇が腫れる
・まぶたが腫れる
・息苦しい
・声がかすれる
・吐き気や腹痛を伴う
・ぐったりしている
・虫刺され後に急に体調が悪くなる

特に、息苦しさ、顔や唇の腫れ、全身のじんましん、ぐったり感がある場合は、強いアレルギー反応の可能性があります。すぐに救急対応を考えましょう。

食物アレルギーやアナフィラキシーの既往がある子どもは、旅行前に薬や緊急時の対応を主治医と確認しておくと安心です。

迷ったら相談先につなげる

子連れ旅行では、受診するかどうかをその場で判断しきれないことがあります。

迷ったときは、ひとりで抱え込まず、相談先につなげましょう。

国内旅行で確認したい相談先は、次のとおりです。

・小児救急電話相談 #8000
・宿泊先近くの医療機関
・夜間休日診療所
・救急相談窓口
・宿泊先のフロント
・旅行先の救護室

#8000では、子どもの症状に応じた対処や受診先について、小児科医師や看護師に相談できます。実施時間帯は都道府県によって異なります。(厚生労働省)

海外旅行では、次の情報を確認しておきましょう。

・旅行保険会社の連絡先
・現地の救急番号
・日本語対応の医療機関
・宿泊先のフロント
・大使館や領事館の情報
・服用中の薬の情報
・アレルギー情報

相談するときは、次の内容を伝えるとスムーズです。

・子どもの年齢
・症状が始まった時間
・体温
・水分がとれているか
・尿が出ているか
・嘔吐や下痢の回数
・呼吸の様子
・けいれんの有無
・持病やアレルギー
・使った薬
・旅行先で食べたもの
・ケガをした状況

「今すぐ救急か」「明日まで待てるか」「近くの小児科でよいか」を相談できる先を、出発前にメモしておくと安心です。

まとめ:受診サインは「反応・呼吸・水分・痛み」で見る

子連れ旅行で受診を考えたいサインは、発熱の高さだけでは判断できません。

特に大切なのは、

・反応が普段どおりか
・呼吸が苦しそうではないか
・水分がとれているか
・尿が出ているか
・強い痛みがないか
・何度も吐いていないか
・血便や高熱がないか
・けいれんがないか
・ケガの後に様子が変わっていないか
・アレルギー症状が全身に出ていないか

です。

保存用のチェックリストとしては、次のサインを覚えておくと役立ちます。

・ぐったりしている
・反応が鈍い
・息が苦しそう
・水分がとれない
・尿が少ない
・何度も吐く
・血便がある
・強い腹痛がある
・けいれんがある
・頭を打った後に様子が違う
・顔や唇が腫れる
・全身のじんましんがある

このような場合は、旅先でも様子を見すぎず、医療機関や救急相談へつなげましょう。

一方で、軽い症状でも、保護者が「いつもと違う」と強く感じる場合は相談してかまいません。

旅行を楽しむためにも、受診サインと相談先を出発前に確認しておきましょう。

参考文献

『子ども医療電話相談事業(♯8000)について』(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/newpage_55223.html

『こどもの救急』(日本小児科学会)
https://kodomo-qq.jp/

『小児急病のてびき』(みやぎ県南中核病院)
https://www.southmiyagi-mc.jp/guidance/erpediatrics/index.html

『子どもが頭を打った~病院に行くべきか、行かなくてよいのか』(こどもと医療)
https://kodomotoiryo.com/nyuji/391/

ABOUT ME
るんるん
30代医師夫婦|旅行に役立つ情報発信|子どもは2人