旅行から帰った後も下痢が続くと、「食べすぎただけ?」「現地の食事が合わなかった?」と心配になることがあります。

旅行中の下痢は、疲労やストレス、食事内容の変化で起こることもあります。一方で、細菌、ウイルス、寄生虫などによる感染症が原因になることもあります。特に海外旅行後では、旅行中に症状が軽くなっても、帰国後まで下痢が続く場合があります。(forth.go.jp)

一般に、旅行者下痢症の多くは急性に経過しますが、14日を超えて続く場合は「持続性」の下痢として、寄生虫感染や感染後の腸の変化なども含めた評価が必要になります。(疾病対策予防センター)

この記事では、旅行後に下痢が続くときに確認したいことと、受診を考える目安を解説します。

下痢がいつから何日続いているか確認する

まず確認したいのは、下痢が始まった時期と続いている日数です。

例えば、

・旅行中から始まった
・帰宅した日に始まった
・帰宅して数日後に始まった
・一度よくなって再び悪化した
・1週間以上続いている
・2週間以上続いている

といった経過を整理しましょう。

あわせて、次の内容も記録しておくと受診時に役立ちます。

・1日の便の回数
・水のような便か
・血が混じるか
・粘液があるか
・腹痛があるか
・発熱があるか
・吐き気や嘔吐があるか
・体重が減っていないか
・夜中にも下痢で起きるか
・同行者にも同じ症状があるか

旅行後の下痢では、症状の期間によって考える原因が変わります。特に14日を超える下痢では、寄生虫感染などの可能性が相対的に高くなり、便検査などが検討されます。(疾病対策予防センター)

スマートフォンに「帰国日」「発症日」「便の回数」「発熱」「使った薬」をメモしておくと、診察時に説明しやすくなります。

水分がとれているか、脱水のサインがないかを見る

下痢が続くときに最も注意したいことのひとつが脱水です。

便とともに水分が失われるため、下痢の回数が多いほど脱水につながりやすくなります。嘔吐や発熱もある場合は、さらに水分を失いやすくなります。(疾病対策予防センター)

確認したいのは、

・水分を飲めているか
・飲んでも吐いてしまわないか
・尿が出ているか
・尿の回数が減っていないか
・口の中が強く乾いていないか
・立ち上がるとふらつかないか
・ぐったりしていないか

です。

水分がとれる場合は、一度に大量に飲むより、少量ずつこまめに補給しましょう。下痢が続く場合は、水だけでなく電解質も失われるため、状況に応じて経口補水液を利用します。(emro.who.int)

次のような場合は、様子を見すぎないことが大切です。

・水分がほとんどとれない
・何度も吐く
・尿が極端に少ない
・立てないほどふらつく
・反応が鈍い
・ぐったりしている

乳幼児、高齢者、妊娠中の人、持病がある人では、脱水の影響が大きくなりやすいため、早めの相談を意識しましょう。

海外旅行後は食事・水・行動歴を整理する

海外旅行後に下痢が続く場合は、「どこへ行ったか」だけでなく、現地で何をしたかが重要です。

受診前に、次の内容を整理しておきましょう。

・渡航した国や地域
・滞在期間
・帰国日
・症状が始まった日
・水道水を飲んだか
・氷入りの飲み物を飲んだか
・生野菜を食べたか
・カットフルーツを食べたか
・生ものを食べたか
・加熱不足の肉や魚介類を食べたか
・屋台や市場を利用したか
・川や湖で泳いだか
・キャンプをしたか
・現地で抗菌薬を使ったか
・同行者にも症状があるか

旅行後の長引く下痢では、細菌感染だけでなく、ジアルジア症やアメーバ赤痢などの寄生虫感染も考える必要があります。(forth.go.jp)

特に、

・水の安全性が不明な地域に滞在した
・沢や川の水に触れた
・長期間滞在した
・症状が2週間以上続く
・一度よくなって再発した

場合は、その情報を医療機関に伝えましょう。

海外旅行後に受診するときは、「最近海外へ行きました」だけでなく、「○月○日まで○○国の○○地域に滞在していました」と具体的に伝えることが役立ちます。(forth.go.jp)

血便・高熱・強い腹痛があるときは早めに受診する

下痢が続いていても、軽い症状で水分がとれている場合は経過を見られることがあります。

一方で、次のような症状がある場合は注意が必要です。

・血便
・黒い便
・高熱
・強い腹痛
・腹痛が悪化している
・何度も吐く
・水分がとれない
・尿が少ない
・ぐったりしている
・急速に体調が悪化している
・下痢が3日以上続き改善しない
・2週間以上続いている

血便、高熱、脱水、長引く下痢は、医療機関への相談を考える重要なサインです。(疾病対策予防センター)

また、海外旅行後の下痢に発熱を伴う場合は、単純な胃腸炎だけでなく、渡航先によっては別の感染症も考える必要があります。

特に乳幼児、高齢者、妊娠中の人、免疫を抑える治療中の人、重い持病がある人は、早めに相談してください。

受診前に医療機関へ電話し、海外旅行後であること、下痢が続いていること、血便や発熱の有無を伝えておくと安心です。

下痢止めや抗菌薬を自己判断で続けない

旅行後に下痢が続くと、市販の下痢止めを使いたくなることがあります。

ただし、下痢の原因によっては、自己判断で薬を続けない方がよい場合があります。特に、発熱や血便がある感染性腸炎では、腸の動きを抑えるタイプの薬が適さないことがあります。(forth.go.jp)

また、旅行中に余っていた抗菌薬を自己判断で飲むことも避けましょう。

原因となる病原体によって必要な治療は異なります。寄生虫による下痢では、一般的な抗菌薬では治療できないことがあります。さらに、抗菌薬の使用後に腸内環境が変化し、別の原因で下痢が続くこともあります。(forth.go.jp)

医療機関では、状況に応じて、

・便検査
・細菌検査
・寄生虫検査
・血液検査

などが検討されます。持続する旅行後下痢では、旅行歴と症状に応じて原因を調べることが重要です。(疾病対策予防センター)

受診するときは、旅行中や帰国後に使った薬の名前も伝えましょう。

まとめ:長引く下痢は「旅行歴」と「期間」を伝える

旅行後に下痢が続くときは、まず症状の経過を整理しましょう。

確認したいのは、

・いつから始まったか
・何日続いているか
・1日何回くらい出るか
・血便があるか
・発熱があるか
・強い腹痛があるか
・水分がとれているか
・尿が出ているか
・同行者にも症状があるか
・海外ならどの国や地域へ行ったか
・現地で何を食べ、どんな水を飲んだか
・川や湖で泳いだか
・抗菌薬を使ったか

です。

旅行後の下痢は、疲労や食事の変化で起こることもあります。一方で、細菌、ウイルス、寄生虫などによる感染症が原因のこともあります。特に2週間以上続く場合は、寄生虫感染や感染後の腸の変化なども含めた評価が必要です。(疾病対策予防センター)

血便、高熱、強い腹痛、繰り返す嘔吐、水分がとれない、尿が少ない、急速に悪化する場合は、様子を見すぎず医療機関へ相談してください。(疾病対策予防センター)

海外旅行後に受診するときは、必ず渡航歴を伝えましょう。

「どこへ行ったか」「いつ帰国したか」「下痢が何日続いているか」を整理しておくことが、原因を調べる手がかりになります。(forth.go.jp)

参考文献

『旅行から帰って』(厚生労働省検疫所 FORTH)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/attention05.html

『病気になったら』(厚生労働省検疫所 FORTH)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/attention04.html

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30代医師夫婦|旅行に役立つ情報発信|子どもは2人