旅行中の腹痛で受診を考えたいサイン
旅行中にお腹が痛くなると、「食べ物が合わなかったのかな」「少し休めばよくなるかな」と思いながらも、不安になることがあります。
旅先では、食事内容の変化、食べ過ぎ、冷たい飲み物、便秘、下痢、疲労、寝不足、移動中の冷えなどが重なりやすく、普段より腹痛が起こりやすくなります。海外旅行では、水や食事の違いによって下痢や腹痛が起こることもあります。
多くの腹痛は、休憩や水分補給、食事を控えることで落ち着くこともあります。ただし、強い痛み、発熱、血便、繰り返す嘔吐、脱水症状などがある場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
ここでは、旅行中の腹痛で受診を考えたいサインについて解説します。
旅行中に腹痛を感じたらまず確認したいこと

旅行中に腹痛を感じたときは、まず安全に休める場所を確保しましょう。
観光中、駅や空港、テーマパーク、車内などでお腹が痛くなると、予定を続けるか迷うことがあります。しかし、痛みがある状態で無理に歩き続けると、吐き気やめまいを伴ったり、トイレに間に合わなくなったりすることがあります。
まずは、椅子に座る、トイレの場所を確認する、同行者に体調を伝えるなど、すぐに対応できる状態にしましょう。冷や汗が出る、立っていられない、顔色が悪い場合は、早めに周囲の人や施設スタッフに相談します。
痛みの場所、痛みの強さ、いつから始まったか、下痢や嘔吐、発熱、血便の有無も確認します。食事の内容や、生もの、加熱不十分な食品、水、屋台料理などを食べたかも思い出しておくと、受診時に説明しやすくなります。
旅行中に腹痛が起こりやすい理由

旅行中は、腹痛につながる要因が普段より増えます。
まず多いのは、食事の変化です。旅行先では、脂っこい料理、辛い料理、冷たい飲み物、食べ慣れない食材、アルコールなどを取る機会が増えます。食事量が増えたり、食事時間がずれたりするだけでも、お腹に負担がかかることがあります。
便秘も腹痛の原因になります。長時間の移動、トイレを我慢すること、水分不足、運動量の変化、緊張などが重なると、便通が乱れやすくなります。特に、子どもや高齢者では、環境が変わるだけで腹部不快感が出ることがあります。
下痢を伴う腹痛では、感染性胃腸炎や食中毒が関係することがあります。旅行中や帰国後に下痢が長引く場合は、感染が続いている場合や、感染をきっかけに腸の不調が続いている場合もあります。
受診を考えたい腹痛のサイン

旅行中の腹痛で特に注意したいのは、痛みが強い場合や、腹痛以外の症状を伴う場合です。
我慢できないほど強い腹痛、だんだん痛みが強くなる腹痛、歩くと響く痛み、右下腹部など一部に限局して強くなる痛みがある場合は、早めに受診を考えます。虫垂炎、胆石、尿管結石、腸閉塞、婦人科疾患など、医療機関での診察が必要な病気が隠れていることがあります。
発熱を伴う腹痛も注意が必要です。特に、下痢や嘔吐を伴っている場合は、感染性胃腸炎や食中毒の可能性があります。水分が取れない、尿が少ない、口が渇く、ぐったりしている場合は、脱水が進んでいる可能性もあります。
血便、黒い便、強い下痢が続く場合も受診を考えます。海外旅行中や帰国後に下痢が長引く場合は、寄生虫や細菌感染などが関係していることもあるため、市販薬だけで様子を見続けない方が安心です。
また、妊娠中、持病がある方、高齢者、乳幼児、免疫が低下している方では、腹痛が軽く見えても早めに相談した方がよい場合があります。
旅行先でできる腹痛への対応

腹痛が軽く、強い症状がない場合は、まず体を休めて様子を見ます。
吐き気がある場合は、無理に食事を取らず、胃腸を休ませます。水分は少量ずつこまめに取りましょう。一度にたくさん飲むと吐き気が強くなることがあるため、少しずつ飲むのがポイントです。
下痢や嘔吐がある場合は、脱水を防ぐことが大切です。水だけでなく、経口補水液などを使うこともあります。ただし、アルコール、刺激の強い飲み物、脂っこい食事は避けた方が安心です。
お腹を冷やさないように、羽織りものやブランケットを使います。冷房が強い車内やホテルの部屋では、腹痛が悪化することもあります。お腹は旅先でも意外と繊細です。
市販薬を使う場合は、症状に合っているか確認しましょう。発熱、血便、強い腹痛を伴う下痢では、自己判断で下痢止めを使うより、医療機関に相談することが大切です。
子どもや高齢者の腹痛で気をつけたいこと

子どもや高齢者の腹痛では、症状をうまく伝えられなかったり、脱水が進みやすかったりすることがあります。
子どもの場合は、腹痛の場所や強さを正確に伝えられないことがあります。顔色が悪い、ぐったりしている、繰り返し吐く、便に血が混じる、お腹を触ると強く嫌がる場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
乳幼児では、尿の回数が減る、涙が少ない、口が乾く、反応が弱いなどが脱水のサインになることがあります。旅行先では普段の様子と比べにくいこともあるため、「いつもより元気がない」と感じたら注意が必要です。
高齢者では、強い病気があっても痛みの訴えがはっきりしないことがあります。持病がある方、血液をサラサラにする薬を使っている方、糖尿病や免疫低下がある方では、早めに相談した方が安心です。
旅行中の腹痛チェックリスト

旅行中に腹痛が出たときは、次の点を確認しましょう。
腹痛が出たとき
- 痛みの場所はどこか
- 痛みは強くなっているか
- 下痢や嘔吐があるか
- 発熱があるか
- 血便や黒い便があるか
- 水分が取れているか
- 尿の回数が減っていないか
- 生ものや加熱不十分な食品を食べたか
受診を考えるサイン
- 我慢できないほど痛い
- 痛みがだんだん強くなる
- 歩くとお腹に響く
- 発熱がある
- 血便や黒い便がある
- 嘔吐を繰り返して水分が取れない
- ぐったりしている
- 乳幼児、高齢者、妊娠中、持病がある
まとめ

旅行中の腹痛は、食事の変化、食べ過ぎ、冷え、便秘、下痢、感染性胃腸炎、食中毒など、さまざまな原因で起こります。
軽い腹痛であれば、休憩、水分補給、食事を控えることで落ち着くこともあります。ただし、強い痛み、発熱、血便、繰り返す嘔吐、水分が取れない、ぐったりしている場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
旅行中は、普段のかかりつけ医にすぐ行けないことがあります。無理に予定を続けず、ホテルスタッフ、施設スタッフ、旅行保険の相談窓口なども活用しながら、安全を優先して行動することが大切です。
参考文献・参考サイト
- 厚生労働省:食中毒
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html - 厚生労働省検疫所 FORTH:旅行から帰って
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/attention05.html - 厚生労働省検疫所 FORTH:海外で注意すべき感染症
https://www.forth.go.jp/keneki/tokyo/about/section/file/kaigai_tyui.pdf