旅行中にめまいを感じたときに確認したいこと
旅行中に急にふらついたり、景色がぐるぐる回るように感じたりすると、不安になることがあります。
旅先では、長時間の移動、寝不足、脱水、暑さ、乗り物酔い、疲労、環境の変化などが重なりやすく、普段はめまいがない方でも体調を崩すことがあります。特に、観光中や駅・空港・ホテルのロビーなどでふらつくと、転倒やけがにつながることもあります。
めまいには、耳の不調、血圧の変化、脱水、貧血、薬の影響、脳の病気など、さまざまな原因があります。多くは休憩や水分補給で落ち着くこともありますが、症状によっては早めの受診や救急対応が必要です。
ここでは、旅行中にめまいを感じたときに確認したいことについて解説します。
旅行中にめまいを感じたらまず確認したいこと

旅行中にめまいを感じたときは、まず安全な場所で休むことが大切です。
駅のホーム、階段、道路、浴室、海や川の近くなどでふらつくと、転倒や事故につながることがあります。無理に歩き続けず、近くの椅子や壁際、同行者のそばなど、安全な場所へ移動しましょう。
めまいがあるときは、「少し我慢すれば予定通り行ける」と考えたくなることがあります。しかし、旅行中は普段より疲れがたまりやすく、無理をすると症状が悪化することがあります。予定よりも、まず転ばないことが優先です。
座れる場所があれば座り、可能であれば横になります。急に立ち上がるとふらつきが強くなることがあるため、動作はゆっくりにしましょう。吐き気がある場合は、無理に飲食せず、落ち着いてから少量ずつ水分を取ります。
同行者がいる場合は、症状を伝えて一人で移動しないようにします。一人旅の場合でも、ホテルスタッフ、駅員、施設スタッフなど、近くの人に早めに相談しましょう。
旅行中にめまいが起こりやすい理由
旅行中は、めまいにつながる要因が重なりやすくなります。
まず多いのが、疲労や寝不足です。早朝出発、長時間移動、慣れない寝具、予定の詰め込みなどで、体が十分に回復しないまま動き続けることがあります。旅行は楽しい一方で、体には意外としっかり業務命令が出ています。
脱水や暑さも重要です。観光中は歩く時間が長くなり、汗をかいても水分補給が遅れやすくなります。夏場だけでなく、飛行機や新幹線の車内、冬の暖房が効いた室内でも体が乾きやすくなることがあります。
暑い環境では、こまめな休憩、水分補給、体を冷やす工夫が大切です。熱中症でも、めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、だるさなどが起こることがあります。
また、乗り物酔いや気圧の変化、耳の不調が関係することもあります。車、船、飛行機、山道、ロープウェイなどでは、揺れや視覚情報の変化によってめまい感や吐き気が出ることがあります。
薬を飲んでいる方では、眠気やふらつきが副作用として出ることもあります。血圧の薬、睡眠薬、抗不安薬、酔い止め、アレルギー薬などを使用している場合は、旅行中の体調変化にも注意しましょう。
めまいの種類と一緒に確認したい症状
めまいを感じたときは、どのような感覚かを確認すると、受診時にも伝えやすくなります。
周囲がぐるぐる回るように感じる場合は、回転性めまいと呼ばれることがあります。耳の奥にある平衡感覚の仕組みが関係する病気で起こることがあります。頭を動かしたときに短時間だけ強くなる、耳鳴りや聞こえにくさを伴う、吐き気が強いなどの症状がある場合は、耳鼻科での相談が必要になることがあります。
一方で、立ち上がったときに目の前が暗くなる、血の気が引く、ふわっとするようなめまいは、血圧の変化、脱水、貧血、疲労などが関係することがあります。旅行中は、朝食を抜く、長時間歩く、暑い場所にいる、水分を控えるなどが重なりやすく、立ちくらみのような症状が出ることがあります。
ふらふらしてまっすぐ歩きにくい、体が揺れるように感じる、足元が不安定に感じる場合もあります。疲労や睡眠不足で起こることもありますが、症状が強い場合や急に出た場合は注意が必要です。
めまいを感じたときは、強い頭痛、ろれつが回らない、片側の手足のしびれや動かしにくさ、顔のゆがみ、ものが二重に見える、意識がぼんやりする、胸の痛みや息苦しさ、繰り返す嘔吐、高熱、聞こえにくさや強い耳鳴りがないか確認しましょう。
こうした症状がある場合は、旅行の予定を続けるよりも、早めに医療機関へ相談することが大切です。
早めに受診を考えたいめまいのサイン
旅行中のめまいでは、休めば落ち着くものもありますが、すぐに受診を考えたい症状もあります。
特に、急に強いめまいが出た、今まで経験したことがないめまいがある、立てないほど強い、症状が長く続く、何度も繰り返す場合は注意が必要です。
めまいに加えて、激しい頭痛、手足のしびれ、力が入らない、ろれつが回らない、顔の動きに左右差がある、ものが二重に見える、意識がぼんやりするなどの症状がある場合は、脳の病気が関係している可能性があります。この場合は、様子を見るのではなく、救急受診を考えましょう。脳卒中では、片側の手足や顔の麻痺・しびれ、ろれつが回らない、言葉が出にくいといった症状が突然出ることがあり、早急な対応が必要です。
耳鳴り、聞こえにくさ、耳が詰まった感じを伴うめまいでは、耳の病気が関係することがあります。特に、片側の聞こえにくさが急に出た場合は、早めの受診が大切です。
また、嘔吐を繰り返して水分が取れない場合、脱水が進むことがあります。尿が少ない、口が乾く、ぐったりする、立つと強くふらつく場合も、医療機関への相談を考えましょう。
旅行先では、普段のかかりつけ医にすぐ行けないことがあります。迷ったときは、ホテルスタッフ、施設スタッフ、旅行保険の相談窓口、救急相談窓口などを活用し、早めに相談する方が安心です。
旅行先でできるめまいへの対応と予防

めまいを感じたときは、まず予定を中断し、安全な場所で休みます。
座れる場所があれば座り、できれば横になって体を休めます。立ったまま我慢する、急いで歩く、階段を使う、重い荷物を持つといった行動は避けましょう。浴室やトイレでふらついた場合は、転倒しやすいため特に注意が必要です。
水分不足が考えられる場合は、落ち着いてから少量ずつ水分を取ります。吐き気があるときは、一度にたくさん飲まず、少しずつ取るようにします。暑い場所にいた場合は、涼しい場所へ移動し、首元をゆるめ、体を冷やしすぎない範囲で休みましょう。
乗り物酔いが関係していそうな場合は、できるだけ揺れの少ない場所に移動し、遠くの景色を見る、スマートフォンや本を見続けない、においの強いものを避けるなどの工夫をします。酔い止めを使う場合は、眠気やふらつきが出ることもあるため、服用後の行動にも注意しましょう。
旅行中のめまいを完全に防ぐことは難しいですが、事前の準備でリスクを減らすことはできます。早朝出発、長時間移動、観光、食事、夜更かしが重なると、体への負担が大きくなります。移動日や到着日は、休憩を多めに入れた計画にしましょう。
水分補給も大切です。トイレを気にして水分を控えすぎると、脱水や立ちくらみにつながることがあります。夏の屋外観光、温泉、サウナ、飲酒後、飛行機や新幹線での移動中は、特にこまめに水分を取るようにしましょう。
食事を抜かないことも重要です。朝食を取らずに歩き回ると、低血糖や疲労でふらつきやすくなることがあります。食欲がないときでも、ゼリー飲料、バナナ、クラッカー、おにぎりなど、食べやすいものを少し用意しておくと安心です。
めまいを起こしやすい方は、旅行前にかかりつけ医へ相談しておくのもよいでしょう。過去にメニエール病、良性発作性頭位めまい症、貧血、低血圧、片頭痛、乗り物酔いなどを指摘されたことがある場合は、旅行中の対策や薬の使い方を確認しておくと安心です。
旅行中のめまいチェックリスト

旅行中にめまいを感じたときは、出たときの状況、症状、受診を考えるサインに分けて確認すると、落ち着いて判断しやすくなります。
めまいが出たときの確認
- 安全な場所で座ったか
- 一人で歩き続けていないか
- いつから症状が出たか
- ぐるぐる回る感じか、ふわっとする感じか
- 立ち上がったときに強くなるか
- 吐き気や嘔吐があるか
- 耳鳴りや聞こえにくさがあるか
- 強い頭痛があるか
- 手足のしびれや動かしにくさがあるか
- ろれつが回りにくいか
- 水分や食事を取れているか
受診を考えるサイン
- 強いめまいで立てない
- めまいが長く続く
- 繰り返し嘔吐している
- 強い頭痛がある
- ろれつが回らない
- 片側の手足がしびれる、動かしにくい
- 顔のゆがみがある
- ものが二重に見える
- 意識がぼんやりする
- 急に聞こえにくくなった
- 胸の痛みや息苦しさがある
旅行前の準備
- 予定に休憩時間を入れたか
- 水分を持ったか
- 軽食を用意したか
- 常用薬を確認したか
- お薬手帳や保険証を持ったか
- 旅行先の医療機関や相談先を確認したか
- 乗り物酔いしやすい場合の対策を考えたか
まとめ

旅行中にめまいを感じたときは、まず安全な場所で休むことが大切です。
駅のホーム、階段、道路、浴室などでふらつくと、転倒や事故につながることがあります。無理に予定を続けず、座る、横になる、同行者や施設スタッフに相談するなど、早めに安全を確保しましょう。
旅行中のめまいは、疲労、寝不足、脱水、暑さ、乗り物酔い、耳の不調、薬の影響など、さまざまな原因で起こります。水分補給や休憩で落ち着くこともありますが、症状によっては早めの受診が必要です。
特に、強い頭痛、ろれつが回らない、手足のしびれや動かしにくさ、顔のゆがみ、意識がぼんやりする、ものが二重に見えるなどを伴う場合は、救急受診を考えましょう。耳鳴りや聞こえにくさを伴うめまいも、耳鼻科での相談が必要になることがあります。
旅行は、目的地に着くことだけでなく、安全に帰ってくることも大切です。体調に不安があるときは、予定を少し減らし、休憩、水分、相談先を確保しながら無理のない旅にしましょう。
参考文献・参考サイト
- 日本神経学会:症状編 めまい
https://www.neurology-jp.org/public/disease/memai_detail.html - 厚生労働省 e-ヘルスネット:脳血管障害・脳卒中
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-006.html - 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会:めまいの原因・治療法そして、めまい治療に関する誤解
https://www.jibika.or.jp/owned/contents2.html - 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会:めまい・平衡覚・顔面神経
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=7 - 厚生労働省:熱中症ガイド
https://neccyusho.mhlw.go.jp/download/assets/pdf/guide_pdf_all.pdf - 厚生労働省:上手な医療のかかり方.jp
https://kakarikata.mhlw.go.jp/