旅行中に子どもが下痢をすると、脱水にならないか、食事をどうすればよいか、病院へ行くべきか迷いやすくなります。

子どもの下痢は、感染性胃腸炎、食べ慣れないもの、水や食事の変化、冷たい飲み物のとりすぎ、疲れ、暑さ、乗り物移動による体調変化などで起こることがあります。海外旅行では、渡航先の水や食事が原因になることもあります。

1〜2回の下痢で元気があり、水分がとれている場合は、休ませながら様子を見ることもあります。一方で、何度も下痢をする、水分がとれない、尿が少ない、ぐったりしている、血便がある、高熱がある場合は注意が必要です。

この記事では、旅行中に子どもが下痢をしたときの対応と、受診を考えたいサインについて解説します。

まずは回数・便の状態・全身の様子を見る

子どもが下痢をしたときは、まず便の回数や状態と、子どもの全身の様子を確認します。

確認したいのは、次のような点です。

・下痢は何回あったか
・水のような便か
・血が混じっていないか
・黒っぽい便ではないか
・白っぽい便ではないか
・強い腹痛がないか
・発熱がないか
・吐いていないか
・水分を飲めているか
・尿が出ているか
・顔色や反応は普段どおりか
・ぐったりしていないか

旅行中は、トイレの回数や尿の量を見落としやすくなります。最後に尿が出た時間、下痢の回数、飲めた水分の量をメモしておくと、受診の判断に役立ちます。

下痢をしていても、元気があり、水分がとれていて、尿も出ている場合は、無理な移動を避けながら様子を見ることがあります。

ただし、便に血が混じる、強い腹痛がある、ぐったりしている、反応が悪い、尿が少ない場合は、旅先でも早めに医療機関へ相談しましょう。

脱水を防ぐために少量ずつ水分をとる

下痢で最も注意したいのは脱水です。

下痢では、水分だけでなく塩分などの電解質も失われます。特に乳幼児は、体が小さく、脱水が進みやすいため注意が必要です。

水分補給は、少量ずつ、こまめに行います。一度にたくさん飲ませると、吐き気がある場合に吐いてしまうことがあります。スプーン1杯、ひと口、数mL程度から始め、飲めるようなら少しずつ量を増やします。

飲ませるものは、水、麦茶、経口補水液などを状況に応じて選びます。下痢が多い、発熱や嘔吐を伴う、汗をかいている、尿が少ない場合は、経口補水液が役立つことがあります。

一方で、ジュース、炭酸飲料、甘いスポーツドリンク、乳酸菌飲料などは、糖分が多く、下痢の状態によっては悪化することがあります。飲みやすいからといって、甘い飲み物ばかりにしないようにしましょう。

母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんでは、自己判断で長く中止せず、少量ずつ続けることがあります。水分がとれない、吐いてしまう、尿が少ない場合は早めに相談してください。

食事は無理に食べさせず、消化しやすいものから

下痢をしているときは、食事をどうするか迷いやすいです。

まず大切なのは、水分がとれていることです。食欲がないのに無理に食べさせる必要はありません。水分がとれて、吐き気がなく、少し食べたがるようであれば、消化しやすいものから少量ずつ試します。

食べやすいものには、次のようなものがあります。

・おかゆ
・うどん
・やわらかいごはん
・スープ
・バナナ
・りんごのすりおろし
・じゃがいも
・脂っこくないたんぱく質

避けたいものは、脂っこい料理、揚げ物、香辛料の多い料理、冷たい飲み物、甘い飲み物、食べ慣れない料理などです。

旅行先では、せっかくだから名物を食べさせたいと思うことがあります。しかし、下痢をしているときは、予定していた食事よりも胃腸に負担をかけないことを優先しましょう。

下痢が落ち着いてきたら、普段の食事へ少しずつ戻します。食事を急に元どおりに戻すと、下痢がぶり返すことがあるため、様子を見ながら進めます。

感染を広げないために手洗いと片づけを徹底する

子どもの下痢は、感染性胃腸炎などで起こることがあります。

旅行中は、ホテル、車内、公共交通機関、レストラン、観光施設など、多くの人が使う場所を利用します。家族や周囲に広げないためにも、手洗いと片づけが大切です。

下痢の後、おむつ替えの後、トイレの後、食事の前には、石けんと流水で手を洗いましょう。アルコール消毒だけでは不十分な病原体もあるため、可能なときは手洗いを優先します。

おむつや汚れた衣類を扱うときは、ビニール袋を使い、周囲を汚さないようにします。使い捨て手袋、ウェットティッシュ、ビニール袋、替えの服、タオルがあると安心です。

ホテルでは、汚れたタオルやシーツをそのまま放置せず、スタッフに相談しましょう。無理に自分で広範囲を洗ったり、共有スペースに汚れ物を置いたりしないようにします。

兄弟や家族内で症状が広がることもあるため、食器やタオルの共有は避けます。下痢がある間は、プールや温泉も控えましょう。

海外旅行では水・食事・薬の使い方に注意する

海外旅行中の下痢では、水や食事が原因になることがあります。

渡航先によっては、水道水、氷、生野菜、カットフルーツ、加熱不十分な料理、屋台の食事などで下痢を起こすことがあります。子どもは脱水になりやすいため、早めの水分補給が大切です。

海外で注意したいことは、次のようなものです。

・水道水を飲まない
・氷入りの飲み物を避ける
・加熱された料理を選ぶ
・生ものを避ける
・皮をむける果物を選ぶ
・屋台や衛生状態が不安な店を避ける
・手洗いを徹底する
・経口補水液を準備しておく

下痢止めや抗菌薬は、子どもに自己判断で使わないようにしましょう。血便や高熱がある場合、薬によってはかえって問題になることがあります。

海外では、医療機関の受診方法や旅行保険の連絡先を事前に確認しておくと安心です。発熱、血便、強い腹痛、水分がとれない、ぐったりしている場合は、現地でも早めに受診を考えましょう。

受診を考えたいサイン

旅行中の下痢で次のような症状がある場合は、医療機関や救急相談へ連絡しましょう。

・何度も水のような下痢をする
・水分を飲めない
・飲んでも吐いてしまう
・尿が長時間出ていない
・口や唇が乾いている
・泣いても涙が少ない
・ぐったりしている
・反応が悪い
・強い腹痛がある
・お腹が強く張っている
・血便がある
・黒い便が出る
・白っぽい便が出る
・高熱がある
・けいれんがある
・生後間もない赤ちゃんの下痢
・持病がある、免疫を抑える薬を使っている
・海外旅行中または帰国後の強い下痢

特に、尿が少ない、口が乾く、涙が少ない、目がくぼんで見える、手足が冷たい、ぐったりしている場合は、脱水の可能性があります。

また、血便、強い腹痛、高熱、反応の悪さがある場合は、単なる下痢として様子を見すぎないようにしましょう。

日本国内で判断に迷う場合は、小児救急電話相談「#8000」や地域の救急相談窓口を利用する方法があります。宿泊先のフロントに、近くの小児科、夜間休日診療所、救急外来を確認してもらうのもよいでしょう。

旅行先で医療機関に伝えること

旅行先で受診する場合は、症状を整理して伝えられるようにしておくと安心です。

医療機関で伝えたい情報は、次のようなものです。

・いつから下痢が始まったか
・1日に何回くらい下痢をしているか
・便の色や状態
・血便の有無
・発熱の有無
・嘔吐の有無
・腹痛の場所と強さ
・水分を飲めているか
・尿が最後に出た時間
・食べたもの
・同じ症状の人がいるか
・使った薬
・持病やアレルギー
・海外渡航歴
・生水、生もの、屋台の食事をとったか
・動物との接触や虫刺されの有無

おむつや便の写真を残しておくと、便の色や状態を伝えやすいことがあります。ただし、写真を見せるかどうかは、診察時に医療者の指示に従いましょう。

海外旅行では、渡航先、滞在日数、食べたもの、水や氷をとったか、現地で同じ症状の人がいるかを伝えることが重要です。

旅行前に準備しておきたいもの

子どもの下痢は、旅行中に突然起こることがあります。

事前に準備しておくと、旅先で慌てにくくなります。

持っていきたいものは、次のようなものです。

・経口補水液
・水分
・ビニール袋
・使い捨て手袋
・ウェットティッシュ
・着替え
・タオル
・おむつ
・おしりふき
・保険証
・医療証
・母子手帳
・体温計
・常備薬
・消毒用品
・携帯用のゴミ袋
・旅行保険の連絡先

移動中に下痢をした場合に備えて、着替え、タオル、ビニール袋、ウェットティッシュは、すぐ取り出せる場所に入れておきましょう。スーツケースの奥に入れてしまうと、必要なときにすぐ使えません。

海外旅行では、経口補水液の粉末や、現地で買える水、医療機関の連絡先、旅行保険の窓口を確認しておくと安心です。

下痢止めや抗菌薬を持参する場合は、子どもに使ってよい薬か、年齢に合うかを出発前に医師や薬剤師に確認しておきましょう。

まとめ:下痢のときは脱水と血便を見逃さない

旅行中に子どもが下痢をしたときは、まず便の回数や状態、発熱、嘔吐、腹痛、全身の様子を確認します。

最も注意したいのは脱水です。水分は少量ずつ、こまめにとり、尿が出ているか、口が乾いていないか、涙が出ているか、ぐったりしていないかを見ましょう。

水分がとれない、尿が少ない、ぐったりしている、血便がある、強い腹痛がある、高熱がある場合は、旅先でも医療機関へ相談してください。

旅行中は予定を優先したくなることがありますが、子どもの下痢では、移動や観光よりも水分補給と休息を優先することが大切です。

参考文献

『こどもの救急』(日本小児科学会)
https://kodomo-qq.jp/

『子ども医療電話相談事業(#8000)について』(こども家庭庁)
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/for-parents-reminder/03

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