海外旅行では、街中の犬や猫、観光地にいるサル、自然の中で見かける野生動物などに出会うことがあります。

動物が好きな方や子ども連れの旅行では、つい近づいたり、写真を撮ったり、触ったりしたくなることもあるでしょう。しかし、海外では動物にかまれたり、ひっかかれたりすることで、けがだけでなく感染症のリスクが生じることがあります。

特に注意したいのが狂犬病です。狂犬病は、犬だけでなく、猫、キツネ、コウモリ、アライグマ、スカンクなど、さまざまな哺乳類から感染する可能性があります。

ここでは、旅行先で動物に近づくときの注意点について解説します。

旅行先では動物にむやみに近づかない

旅行先で動物を見かけても、むやみに近づかないことが基本です。

海外では、街中に犬や猫がいる地域もあります。人に慣れているように見えても、急に近づかれると驚いてかむことがあります。観光地にいる動物も、食べ物を持っている人に近づいたり、荷物を取ろうとしたりすることがあります。

写真を撮るときも、距離を保ちましょう。動物の顔の近くにスマートフォンを近づけたり、子どもだけで近づかせたりするのは避けます。

動物がかわいく見えても、触らない、抱っこしない、餌をあげないことが大切です。人間側が友好的なつもりでも、動物にとっては刺激になることがあります。

狂犬病には注意が必要

海外で動物に近づくときに特に注意したい感染症が、狂犬病です。

狂犬病は、発症すると命に関わる重い病気です。主に、感染した動物にかまれる、ひっかかれる、傷口や粘膜をなめられることで感染することがあります。

狂犬病という名前から犬だけを想像しやすいですが、猫、キツネ、コウモリ、アライグマ、スカンクなどの動物も関係することがあります。地域によってリスクのある動物は異なります。

渡航先で動物にかまれたり、ひっかかれたりした場合は、傷が小さくても早めに医療機関へ相談しましょう。渡航前に狂犬病ワクチンを接種している場合でも、かまれた後の対応が必要になることがあります。

サル・コウモリ・野生動物には特に注意する

観光地によっては、サルが多くいる場所があります。

サルは、人の食べ物や荷物に近づいてくることがあります。餌をあげたり、食べ物を見せたり、目をじっと合わせたり、近くで写真を撮ろうとしたりすると、攻撃されることがあります。サルには近づかず、触らず、餌を与えないようにしましょう。

コウモリにも注意が必要です。コウモリは狂犬病などの感染症に関係することがあります。洞窟、古い建物、自然の多い場所などで見かけても、触らないことが大切です。コウモリに触れた、かまれたかもしれない、寝ている間に部屋に入っていたなど、判断に迷う場合も医療機関へ相談しましょう。

野生動物は、見た目が弱っていたり、おとなしく見えたりしても危険なことがあります。けがをしている動物、死んでいる動物、子どもの動物にも触らないようにしましょう。

ふれあい施設や動物カフェでも手洗いを忘れない

旅行先の動物園、牧場、ふれあい施設、動物カフェなどでは、動物との距離が近くなることがあります。

施設で許可されている範囲で触れ合う場合でも、手洗いは大切です。動物に触れた後、餌やりをした後、柵や器具に触れた後は、石けんと水で手を洗いましょう。すぐに手洗いできない場合は、手指消毒剤を使い、後でしっかり洗います。

動物に触れた手で、目、口、鼻を触らないようにしましょう。食事の前には必ず手を清潔にします。

小さな子どもは、動物に触れた後に手を口に入れたり、顔を触ったりしやすいため、大人が見守ることが大切です。子どもだけで動物に近づかせない、施設のルールを守る、無理に触らせないことも大切です。

かまれた・ひっかかれたときの応急処置

動物にかまれたり、ひっかかれたりした場合は、まず傷をしっかり洗います。

流水と石けんで、傷口を十分に洗い流しましょう。出血がある場合は、清潔なガーゼやタオルで圧迫します。洗った後は、できる範囲で清潔に保ち、早めに医療機関へ相談します。

傷が小さい、血が少ししか出ていない、すぐに痛みが落ち着いた場合でも、狂犬病や破傷風などの予防が必要になることがあります。自己判断で様子を見すぎないようにしましょう。

特に、犬、猫、サル、コウモリ、野生動物にかまれた場合、傷口や目・口などをなめられた場合は、早めの相談が必要です。旅行保険の連絡先、宿泊先のフロント、現地の医療機関を利用して受診先を探しましょう。

渡航前に確認しておきたいこと

動物との接触リスクがある旅行では、出発前の準備も大切です。

長期滞在、地方や山間部への旅行、野外活動、動物保護施設での活動、バックパッカー旅行、医療機関にすぐ行きにくい地域への渡航では、狂犬病ワクチンについてトラベルクリニックなどで相談しておくと安心です。

渡航先の感染症情報、医療機関の状況、旅行保険の連絡先も確認しておきましょう。海外では、必要なワクチンや免疫グロブリンをすぐに受けられない地域もあります。

子ども連れの場合は、動物に近づかないルールを事前に話しておくことも大切です。かわいい動物でも触らない、餌をあげない、写真は離れて撮る、かまれたりひっかかれたりしたらすぐ大人に言う、という点を確認しておきましょう。

旅行先で動物に近づくときのチェックリスト

旅行中に動物を見かけたら、次の点を確認しましょう。

動物を見かけたとき

  • むやみに近づかない
  • 触らない
  • 抱っこしない
  • 餌をあげない
  • 子どもだけで近づかせない
  • 写真は距離を保って撮る
  • 食べ物を見せない
  • 弱っている動物や死んでいる動物に触らない

かまれた・ひっかかれたとき

  • 流水と石けんで傷をよく洗う
  • 出血があれば清潔なガーゼやタオルで圧迫する
  • 傷を清潔に保つ
  • 旅行保険や宿泊先に相談する
  • 早めに医療機関を受診する
  • 動物の種類、場所、時間、傷の状態を伝える
  • ワクチン接種歴を伝える

渡航前に準備したいこと

  • 渡航先の感染症情報を確認する
  • 狂犬病ワクチンについて相談する
  • 旅行保険に加入する
  • 現地の医療機関情報を確認する
  • 子どもに動物へ近づかないルールを伝える
  • 長袖・長ズボンなどを準備する
  • 消毒用品やガーゼを用意する

まとめ

海外旅行では、動物にむやみに近づかないことが大切です。

犬や猫、サル、コウモリ、野生動物は、見た目がかわいくても、かまれたり、ひっかかれたりすることがあります。傷が小さくても、狂犬病や破傷風などの感染症予防が必要になることがあります。

旅行先では、動物に触らない、餌をあげない、子どもだけで近づかせない、写真は距離を保って撮ることを意識しましょう。

もし動物にかまれたり、ひっかかれたりした場合は、すぐに流水と石けんで傷をよく洗い、早めに医療機関へ相談することが大切です。渡航前には、旅行先の感染症情報や医療機関、旅行保険の連絡先を確認しておきましょう。

参考文献・参考サイト

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