温泉旅行は、体を休めたり気分をリフレッシュしたりできる楽しみのひとつです。

一方で、長く湯船につかりすぎる、熱いお湯に急に入る、飲酒後に入浴する、水分補給を忘れるなどが重なると、のぼせ、立ちくらみ、気分不快、転倒などにつながることがあります。

特に高齢者、持病がある人、子ども、妊娠中の人、疲れがたまっている人は無理をしないことが大切です。

この記事では、温泉旅行でのぼせや体調不良を防ぐために意識したい入浴前・入浴中・入浴後のポイントを解説します。

温泉でのぼせやすい理由

温泉に入ると体が温まり、血管が広がりやすくなります。

気持ちよく感じる一方で、長く入りすぎると体温が上がりすぎたり、汗で水分が失われたりして、のぼせや立ちくらみにつながることがあります。

温泉旅館では「せっかく来たから」「何回も入りたい」と思いやすく、普段より長湯になりがちです。

特に、熱めのお湯、露天風呂、サウナ、水風呂の行き来、飲酒後の入浴では、体への負担が大きくなりやすいため注意が必要です。

のぼせでは、顔がほてる、頭がぼーっとする、動悸がする、気分が悪い、ふらつく、立ち上がったときにクラッとするなどの症状が出ることがあります。

温泉は気持ちよいものですが、体にとっては「温熱刺激」でもあります。楽しむためには、気持ちよさより少し手前で切り上げるくらいが安全です。

入浴前に体調と水分を整える

温泉に入る前は、まず自分の体調を確認しましょう。

発熱がある、強い疲労がある、めまいがする、食欲がない、下痢や嘔吐がある、寝不足が強いといった日は、無理に温泉へ入らない方が安心です。

旅行中は移動だけでも疲れます。到着してすぐに温泉へ直行したくなりますが、長距離移動の後は、少し休んでから入ると体への負担を減らしやすくなります。

入浴前には、コップ1杯程度の水分をとっておきましょう。温泉では汗をかきやすく、気づかないうちに水分が失われます。

食事の直前や直後、飲酒後の入浴も避けたいタイミングです。特にお酒を飲んだ後は、判断力が落ちたり、血圧変動や脱水が重なったりしやすくなります。

「夕食で飲んだ後にもう一度温泉」は温泉旅行の定番に見えますが、体にはなかなか攻めたスケジュールです。お酒を飲んだ後は、入浴ではなく休む時間にしましょう。

熱すぎるお湯と長湯を避ける

温泉でのぼせを防ぐには、熱すぎるお湯に長く入らないことが大切です。

目安としては、湯温は熱すぎない温度にし、湯船につかる時間は長くても10分程度までに抑えると安心です。熱い湯に我慢して入り続ける必要はありません。

入るときは、いきなり肩までつからず、かけ湯をしてからゆっくり入りましょう。足元から少しずつ体を慣らすことで、急な血圧変化や気分不快を避けやすくなります。

長く入りたい場合も、一度出て休憩をはさむ方が安全です。露天風呂、内湯、サウナを続けて回ると、思った以上に体力を使います。

次のような症状が出たら、すぐに湯船から出ましょう。

・頭がぼーっとする
・顔が熱い
・動悸がする
・息苦しい
・気分が悪い
・ふらつく
・立ちくらみがする
・汗が止まらない

「あと少し」は温泉では危険な粘り方です。湯船の中で根性を出しても、得られる称号は「のぼせた人」くらいです。

湯船から出るときはゆっくり立ち上がる

温泉で意外と危ないのが、湯船から出る瞬間です。

湯船につかっている間は体が温まり、血管が広がっています。その状態で急に立ち上がると、立ちくらみやふらつきが起こることがあります。

湯船から出るときは、いきなり立ち上がらず、浴槽のふちや手すりにつかまりながら、ゆっくり動きましょう。

特に高齢者、血圧の薬を飲んでいる人、糖尿病がある人、心臓や脳血管の病気がある人、貧血気味の人は注意が必要です。

露天風呂では、外気との温度差にも気をつけましょう。冬の温泉では、脱衣所、浴室、露天風呂の温度差が大きくなります。寒い場所から急に熱い湯に入る、熱い湯から寒い場所へ急に出ると、体に負担がかかります。

浴室内では、床が濡れて滑りやすくなっています。のぼせや立ちくらみがある状態で歩くと、転倒につながることもあります。少しでもふらつくときは、その場で無理に移動せず、座って休みましょう。

子ども・高齢者・持病がある人は短めにする

温泉旅行では、同行者の体調にも気を配りましょう。

子どもは楽しくなると、熱さや疲れをうまく伝えられないことがあります。顔が赤い、ぐったりしている、機嫌が悪い、眠そう、ぼーっとしている場合は、早めに湯船から出して休ませます。

子どもを長く湯船につからせる必要はありません。短めに入って、入浴後に水分をとり、ゆっくり休むくらいで十分です。

高齢者では、本人が「大丈夫」と言っていても、急な血圧変化や立ちくらみ、転倒に注意が必要です。長湯、熱い湯、飲酒後の入浴、深夜や早朝の一人入浴は避けた方が安心です。

持病がある人も、無理は禁物です。

特に、心臓病、脳血管疾患、高血圧、糖尿病、腎臓病、重い貧血、呼吸器疾患がある人、血圧の薬や睡眠薬、精神安定薬などを使っている人は、温泉の入り方を主治医に確認しておくと安心です。

妊娠中の人も、体調が不安定なとき、めまいがあるとき、お腹の張りや出血があるときは入浴を控えましょう。旅行前に産婦人科で相談しておくと、現地で迷いにくくなります。

入浴後は水分補給と休憩を忘れない

温泉から出た後は、水分補給と休憩をとりましょう。

入浴後は汗で水分が失われています。水やお茶などを少しずつ飲み、すぐに次の予定へ向かわず、しばらく座って休むと安心です。

入浴後に、めまい、吐き気、強いだるさ、動悸、頭痛、ふらつきがある場合は、涼しい場所で休みます。無理に歩き回ったり、追加で入浴したりしないようにしましょう。

次のような場合は、旅館のスタッフや同行者に知らせ、必要に応じて医療機関への相談を考えてください。

・意識がぼんやりしている
・呼びかけへの反応が悪い
・胸の痛みがある
・息苦しい
・強い頭痛がある
・片側の手足が動かしにくい
・ろれつが回らない
・何度も吐く
・水分がとれない
・転倒して頭を打った

温泉で体調が悪くなったときは、「少し休めば大丈夫」と一人で我慢しないことが大切です。特に一人旅では、入浴前後にフロントや同行者に予定を伝えておくと安心です。

まとめ:温泉は短め・ゆっくり・水分補給が基本

温泉旅行でのぼせや体調不良を防ぐには、熱すぎるお湯や長湯を避け、入浴前後に水分をとることが大切です。

入浴前には体調を確認し、飲酒後、食後すぐ、強い疲労があるときは入浴を控えましょう。湯船に入るときはかけ湯をしてゆっくり入り、出るときも急に立ち上がらないようにします。

子ども、高齢者、妊娠中の人、持病がある人は、短めの入浴を意識してください。

温泉は、無理して長く入るほど効果が増えるものではありません。気持ちよく楽しむためにも、「少し物足りないくらい」で切り上げるのが安全です。

参考文献

『冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!』(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_042/

『交通事故死の約3倍?!冬の入浴中の事故に要注意!』(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202111/2.html

『温泉入浴施設において安全に入浴するための注意事項』(北海道庁)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ksk/onsen/nyuyoku.html

『温泉法に関する通知・ガイドライン等について』(環境省)
https://www.env.go.jp/nature/onsen/

『日本温泉気候物理医学会』
https://www.jbalneology.jp/

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30代医師夫婦|旅行に役立つ情報発信|子どもは2人