麻疹とは?感染経路・症状・予防法を解説
麻疹とは
麻疹は、「はしか」とも呼ばれるウイルス感染症です。麻疹ウイルスによって起こり、発熱、咳、鼻水、目の充血、発疹などの症状が出ます。
麻疹で特に注意したいのは、感染力が非常に強いことです。空気感染するため、同じ空間にいただけでも感染する可能性があります。手洗いやマスクだけで完全に防ぐことは難しく、予防の中心はワクチン接種です。
多くの人にとって、日常生活で常に過度に怖がるべき感染症ではありません。ただし、ワクチン接種歴が不十分な人、乳児、妊娠中の方、免疫が低下している方では注意が必要です。
国内外でみられる感染症

麻疹は、日本だけでなく世界中で報告されている感染症です。日本ではワクチン接種によって大きな流行は抑えられてきましたが、海外で感染した人をきっかけに、国内で感染が広がることがあります。
2026年は国内でも麻疹の報告が増えており、国立健康危機管理研究機構の速報では、2026年第1〜17週の累積報告数は436例とされています。報告は暫定値ですが、近年と比べても注意が必要な状況です。
海外では、地域によって麻疹が流行していることがあります。外務省も、海外渡航時には予防接種歴を確認し、記録がない場合は事前の予防接種を検討するよう注意喚起しています。
旅行そのものを過度に怖がる必要はありません。ただし、海外旅行や人が多く集まる場所へ行く前には、家族全員のワクチン接種歴を確認しておくことが大切です。
感染経路

麻疹は、感染している人の咳やくしゃみ、会話などで広がります。
主な感染経路は以下です。
- 空気感染
- 飛沫感染
- 接触感染
麻疹は空気感染するため、同じ部屋や乗り物、待合室などにいただけでも感染する可能性があります。
また、発疹が出る前から人にうつす可能性があるため、「まだ麻疹と分からない時期」に周囲へ広がることがあります。
主な症状

麻疹は、感染してすぐに症状が出るわけではありません。一般的には、感染から10日ほどの潜伏期間のあとに症状が出ます。
初期には、かぜのような症状で始まることがあります。
主な症状は以下です。
- 発熱
- 咳
- 鼻水
- 目の充血
- 目やに
- 強いだるさ
- 口の中の白い斑点
- 全身の赤い発疹
麻疹では、最初に発熱や咳、鼻水、目の充血が数日続き、その後いったん熱が下がったように見えてから、再び高熱となり、全身に発疹が広がることがあります。
最初は普通のかぜと見分けにくいことがあります。しかし、麻疹では高熱が続きやすく、咳や目の症状が強く出ることがあります。
注意したい合併症

麻疹は、単なる「発疹が出る感染症」ではありません。肺炎、中耳炎、脳炎などを起こすことがあります。
特に注意したい合併症は以下です。
- 肺炎
- 中耳炎
- 脳炎
- 下痢
- 脱水
- 妊娠中の感染による影響
麻疹ではまれに肺炎や脳炎を起こすことがあり、先進国でも患者1,000人に1人が死亡するとしています。
健康な子どもや大人でも重症化することがあります。特に、乳児、妊娠中の方、免疫が低下している方では注意が必要です。
受診を考えたいケース

発熱や発疹があるからといって、すべてが麻疹というわけではありません。突発性発疹、風疹、水ぼうそう、溶連菌感染症、薬疹など、似た症状を起こす病気はあります。
ただし、以下のような場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
- 高熱が続いている
- 咳、鼻水、目の充血が強い
- 発熱後に全身の発疹が出てきた
- 麻疹患者と接触した可能性がある
- 海外渡航後に発熱や発疹が出た
- ワクチン接種歴がない、または不明
- 乳児、妊娠中、免疫が低下している
- 呼吸が苦しそう
- ぐったりしている
- 水分がとれない
大切なのは、いきなり医療機関の待合室に行かないことです。麻疹は感染力が強いため、受診前に電話で「麻疹の可能性があるかもしれない」と伝えましょう。受診方法や時間帯、入口などを案内してもらえることがあります。
検査と治療

麻疹が疑われる場合は、症状、周囲の流行状況、接触歴、渡航歴、ワクチン接種歴などを確認します。必要に応じて、血液検査やウイルスに関する検査が行われます。
麻疹そのものに対する特効薬はありません。治療は、発熱や咳、脱水などに対する対症療法が中心です。
重症化した場合は、入院して酸素投与や点滴などが必要になることがあります。肺炎や中耳炎などの合併症がある場合は、それに応じた治療が行われます。
麻疹は、かかってから治すよりも、かからないように備えることが重要な感染症です。
予防法

麻疹の予防で最も大切なのは、ワクチン接種です。
日本では、麻疹と風疹を一緒に予防するMRワクチンが定期接種として行われています。通常は、1歳時と小学校入学前の1年間に接種します。
予防のポイントは以下です。
- 母子手帳でMRワクチンの接種歴を確認する
- 子どもは定期接種の時期に確実に受ける
- 大人も接種歴が不明なら確認する
- 海外旅行前は家族全員の接種歴を確認する
- 麻疹にかかったことが確実でない場合は医師に相談する
MRワクチンを接種すると95%程度の人が免疫を獲得でき、2回接種によりさらに強い免疫を得ることができます。
「昔かかった気がする」「たぶん打ったと思う」という記憶だけでは不十分なことがあります。母子手帳や接種記録で確認するのが確実です。
旅行者が気をつけたいこと

旅行前には、行き先の感染症情報だけでなく、家族のワクチン接種歴も確認しておきましょう。
特に海外旅行では、麻疹が流行している地域に滞在する可能性があります。空港、飛行機、観光地、ホテルなどでは、多くの国や地域から人が集まります。
旅行前に確認したいことは以下です。
- 子どものMRワクチン接種が済んでいるか
- 大人の麻疹ワクチン接種歴があるか
- 過去に麻疹にかかったことが検査などで確認されているか
- 渡航先で麻疹が流行していないか
- 発熱や発疹がある場合に無理に出発しない
麻疹にかかったことがない人、予防接種を受けたことがない人、1回しか接種していない人、接種歴が分からない人は、海外渡航前に予防接種を検討するようしましょう。
子連れ旅行では、子どもの体調だけでなく、親のワクチン接種歴も大切です。親が感染してしまうと、旅行どころではなくなります。
まとめ

麻疹は、麻疹ウイルスによって起こる感染症です。発熱、咳、鼻水、目の充血、発疹などを起こし、肺炎や脳炎などの重い合併症につながることがあります。
感染力が非常に強く、空気感染するため、手洗いやマスクだけで完全に防ぐことは難しい感染症です。予防の中心は、MRワクチンを含む麻疹ワクチンの接種です。
旅行前、とくに海外旅行前には、子どもだけでなく大人もワクチン接種歴を確認しておきましょう。発熱や発疹があり、麻疹の可能性がある場合は、医療機関へ行く前に電話で相談することが大切です。
麻疹は怖がりすぎる必要はありませんが、軽く見てよい感染症でもありません。正しく知って、ワクチンで備えることが大切です。