旅行前に体調が悪いと、「このまま出発してよいのかな」「病院に行くほどではないのかな」と迷うことがあります。

せっかく予定を立てた旅行だからこそ、多少の不調なら我慢して出発したくなるかもしれません。しかし、旅行中は移動疲れ、睡眠不足、食事の変化、気温差、予定の詰め込みなどで、体調がさらに崩れやすくなることがあります。

特に、発熱、強い痛み、息苦しさ、持病の悪化、子どもの体調不良などがある場合は、出発前に受診を考えた方が安心です。

この記事では、旅行前に病院へ行くべきか迷ったときに確認したい体調不良のサインについて解説します。

旅行前の体調不良は早めに判断する

旅行前の体調不良で大切なのは、「当日の朝に気合いで乗り切らないこと」です。

旅行では、家にいるときよりも休みにくくなります。長時間移動、荷物の持ち運び、人混み、外食、慣れない寝具などが重なるため、軽い不調が悪化することもあります。

特に海外旅行や離島、山間部への旅行では、すぐに医療機関へ行けないことがあります。旅行先で医療機関を探すより、出発前に確認しておいた方が負担は少なくなります。

体調が少しでも気になる場合は、旅行前日ではなく、数日前の段階で予定を見直しましょう。薬、保険証、お薬手帳、旅先の医療機関情報もあわせて確認しておくと安心です。

発熱があるときは旅行前に受診を考える

発熱がある場合は、旅行前に受診を考えたい代表的なサインです。

発熱の原因は、かぜ、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、胃腸炎、肺炎、尿路感染症などさまざまです。軽い発熱だと思っていても、移動や睡眠不足で悪化することがあります。

特に、次のような場合は出発前に医療機関へ相談しましょう。

  • 38℃以上の発熱がある
  • 発熱が続いている
  • 強いだるさがある
  • 咳、息苦しさ、のどの強い痛みがある
  • 嘔吐や下痢を伴う
  • 高齢者、妊娠中、持病がある
  • 子どもがぐったりしている
  • 周囲に感染症の人がいる

感染症が疑われる場合、旅行先で周囲に広げてしまう可能性もあります。無理に出発せず、まずは体調を整える判断も大切です。

胸の痛みや息苦しさがあるときは急いで相談する

胸の痛みや息苦しさは、旅行前に見逃したくない症状です。

厚生労働省は、急な息切れや呼吸困難、胸の中央が締め付けられるような痛みが続く場合、迷わず119番に相談する症状として紹介しています。

突然の胸や背中の激しい痛み、痛む場所が移動する場合も注意が必要です。

旅行前に次のような症状がある場合は、予定よりも受診を優先してください。

  • 胸が締め付けられる
  • 胸の痛みが数分続く
  • 息が苦しい
  • 少し動くだけで息切れする
  • 冷や汗、吐き気、強い不安感がある
  • 背中や肩、あごに痛みが広がる
  • 喘息や心臓病があり、症状がいつもより強い

「旅行先で様子を見よう」は、この症状ではかなり危険な選択になることがあります。旅の荷物より、まず体のサインを優先しましょう。

強い腹痛・嘔吐・下痢があるとき

旅行前に強い腹痛、嘔吐、下痢がある場合も注意が必要です。

食あたり、胃腸炎、虫垂炎、胆石、尿路結石、婦人科系の病気など、原因はさまざまです。特に脱水を伴う場合、長時間移動でさらに体調が悪くなることがあります。

次のような場合は、出発前に医療機関へ相談しましょう。

  • 強い腹痛がある
  • 腹痛がだんだん強くなる
  • 嘔吐が続いて水分が取れない
  • 下痢が何度も続く
  • 血便がある
  • 黒い便が出た
  • 発熱を伴う
  • 妊娠の可能性がある
  • 子どもや高齢者でぐったりしている

特に、突然の激しい腹痛、激しい腹痛が続く、血を吐く、便に血が混ざる、真っ黒い便が出るといった症状を、緊急性の高い症状です。

強い頭痛・しびれ・ろれつが回らないとき

旅行前に、いつもと違う強い頭痛や、手足のしびれ、ろれつが回らない症状がある場合は、早めの受診が必要です。

特に、突然の激しい頭痛、顔の片側が動きにくい、片側の手足に力が入らない、言葉が出にくい、視野が狭くなる、物が二重に見えるといった症状は注意が必要です。

次のような場合は、旅行を優先せず、医療機関へ相談しましょう。

  • 突然の激しい頭痛
  • 今までにない頭痛
  • 手足のしびれや麻痺
  • ろれつが回らない
  • 顔の片側が動きにくい
  • ふらついて立てない
  • 視野が狭くなる
  • 物が二重に見える
  • 意識がぼんやりする

このような症状があれば、放っておかず医療機関に相談しましょう。

持病の症状がいつもと違うとき

持病がある人は、旅行前に「いつもと違う症状」が出ていないか確認しましょう。

高血圧、糖尿病、喘息、心臓病、腎臓病、てんかん、アレルギー、精神疾患などがある場合、旅行中の環境変化で体調が不安定になることがあります。

次のような場合は、出発前に主治医へ相談しておくと安心です。

  • 血圧や血糖値がいつもより不安定
  • 喘息の吸入薬を使う回数が増えている
  • 胸痛や息切れが増えている
  • むくみや体重増加がある
  • 発作が増えている
  • 薬を変更したばかり
  • 最近、入院や救急受診をした
  • 体調不良で食事や水分が取れていない
  • 薬が足りない、飲み方が不安

余裕があればこれらの症状がいつからあり、悪化してるなどの時間経過もメモしておくとよりよいでしょう。

妊娠中・高齢者・子どもは早めに相談する

妊娠中の人、高齢者、子どもは、軽い体調不良でも変化が大きくなることがあります。

妊娠中は、腹痛、出血、強いむくみ、頭痛、発熱、胎動の変化などがある場合、旅行前に産婦人科へ相談しましょう。旅行先や移動時間によっては、予定の変更が必要になることもあります。

高齢者では、発熱や脱水、転倒、食欲低下、息切れなどが旅行中に悪化しやすくなります。普段と違う様子がある場合は、出発前に受診を考えましょう。

子どもでは、発熱、嘔吐、下痢、ぐったりしている、水分が取れない、呼吸が苦しそう、けいれんなどがある場合は、旅行よりも受診を優先してください。

判断に迷う場合、子どもの急な発熱やけがで困ったときに全国共通の短縮番号「#8000」を利用してください。

海外旅行や離島旅行では受診のハードルを下げる

海外旅行、離島、山間部、キャンプ、登山などでは、医療機関へすぐに行けないことがあります。

海外では、言葉、医療費、医療制度、薬の違いもあります。外務省は、海外の各国・地域の医療事情を公開しており、医療事情は国や地域によって大きく異なります。

次のような旅行では、出発前の受診を前向きに考えましょう。

  • 海外旅行
  • 長時間フライト
  • 離島や山間部への旅行
  • 登山、キャンプ、海のアクティビティ
  • 小さな子ども連れ
  • 高齢者との旅行
  • 持病がある人の旅行
  • 現地で医療機関に行きにくい予定

海外渡航にあたって、旅行前の診察、予防接種、旅行用セット、特に持病がある人は準備、旅行保険などが重要です。

受診するか迷ったときの相談先

「病院に行くべきか分からない」という場合は、相談窓口を使う方法もあります。

大人の場合、地域によっては「#7119」で、すぐに病院へ行くべきか、救急車を呼ぶべきかについて相談できます。実施エリアでは、緊急性や受診の必要性について助言を受けられます。

子どもの場合は「#8000」が利用できます。休日・夜間の子どもの急な症状について、小児科医師や看護師などから助言を受けられる全国共通の短縮番号です。

ただし、強い胸痛、息苦しさ、意識障害、けいれん、麻痺、激しい腹痛などがある場合は、相談窓口を待たず、119番や救急受診を考えましょう。

旅行前に受診するときに伝えること

旅行前に受診するときは、旅行の内容を医師に伝えると判断しやすくなります。

伝えておきたい内容は、次の通りです。

  • 出発日と旅行日数
  • 旅行先
  • 国内か海外か
  • 移動手段
  • 飛行機や長時間移動の有無
  • 旅行中の活動内容
  • 宿泊先周辺の医療環境
  • 現在の症状
  • 持病
  • 服用中の薬
  • アレルギー
  • 妊娠の可能性
  • 同行者の有無

旅行を完全に中止する必要があるのか、予定を軽くすればよいのか、薬を持参すればよいのかは、症状や旅行内容によって変わります。情報が多いほど、現実的な相談がしやすくなります。

旅行を延期・中止した方がよいこともある

旅行は楽しみな予定ですが、体調によっては延期や中止が必要になることもあります。

特に、感染症が疑われる発熱、強い腹痛、息苦しさ、胸痛、意識の変化、けいれん、持病の悪化などがある場合は、無理に出発しない判断も大切です。

旅行を延期するのは残念ですが、旅先で体調が悪化すると、本人だけでなく同行者にも大きな負担がかかります。

旅行保険やキャンセル規定も、出発前に確認しておくと安心です。体調不良時のキャンセル対応は、予約内容や保険内容によって異なります。

旅行前の受診チェックリスト

出発前に、次の項目を確認してみましょう。

  • 発熱が続いていない
  • 強い咳や息苦しさがない
  • 胸痛がない
  • 強い腹痛、嘔吐、下痢がない
  • 水分が取れている
  • 強い頭痛やしびれがない
  • ろれつが回らない、麻痺などがない
  • 持病の症状が安定している
  • 薬が足りている
  • 妊娠中の不安な症状がない
  • 子どもがぐったりしていない
  • 旅先で受診できる医療機関を確認した
  • 保険証、お薬手帳、旅行保険情報を準備した

ひとつでも強く気になる項目があれば、出発前に医療機関へ相談しましょう。

まとめ

旅行前に体調が悪いときは、「行けるかどうか」だけでなく、「旅先で悪化しないか」「周囲に感染を広げないか」「必要な医療を受けられるか」を考えることが大切です。

発熱、胸痛、息苦しさ、強い腹痛、嘔吐や下痢、強い頭痛、しびれ、ろれつが回らない症状、持病の悪化がある場合は、出発前に受診を考えましょう。

妊娠中、高齢者、子ども、持病がある人、海外旅行や離島旅行を予定している人は、早めの相談が安心につながります。

旅行は体調が整っていてこそ楽しめます。不安がある場合は、無理に出発せず、医師や相談窓口に確認してから判断しましょう。

参考文献

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