旅行先で子どもが熱を出すと、予定をどうするか、病院へ行くべきか、薬を使ってよいかなどで迷いやすくなります。

子どもの発熱は、かぜなどの感染症で起こることが多い一方で、脱水、熱中症、胃腸炎、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、海外では地域特有の感染症なども考える必要があります。

大切なのは、体温の数字だけで判断しないことです。子どもの様子、水分がとれているか、呼吸は苦しそうでないか、意識ははっきりしているかを確認しましょう。

この記事では、旅行先で子どもが発熱したときの対応について解説します。

まずは体温と全身状態を確認する

旅行先で子どもが熱っぽいと感じたら、まず体温を測り、全身状態を確認しましょう。

体温計がないと、なんとなく熱いという感覚だけで判断することになり、受診や薬の判断が難しくなります。子連れ旅行では、体温計を持っておくと安心です。

発熱時に見るポイントは、体温だけではありません。

・意識がはっきりしているか
・呼びかけに反応するか
・水分を飲めるか
・尿が出ているか
・呼吸が苦しそうでないか
・顔色が悪くないか
・ぐったりしていないか
・発疹がないか
・何度も吐いていないか
・けいれんがないか

熱が高くても、水分がとれていて、反応が普段どおりで、眠れる場合は、まず休ませながら様子を見ることもあります。

一方で、体温がそこまで高くなくても、ぐったりしている、呼びかけへの反応が悪い、水分がとれない、呼吸が苦しそう、顔色が悪い場合は注意が必要です。

旅行中は、移動疲れ、寝不足、暑さ、人混みなども体調不良のきっかけになります。まずは予定を止めて、涼しく落ち着ける場所で休ませましょう。

水分補給と休息を優先する

発熱時は、汗や呼吸で水分が失われやすくなります。

特に子どもは、発熱に加えて下痢や嘔吐があると脱水になりやすくなります。水分だけでなく、体に必要な塩分なども失われやすくなるため注意が必要です。

水分は、一度にたくさん飲ませるより、少量ずつこまめに飲ませる方が受け入れやすいことがあります。

飲ませるものは、水、麦茶、経口補水液などを状況に応じて選びます。食欲がないときに無理に食べさせる必要はありませんが、水分がとれているかは必ず確認しましょう。

脱水が疑われるサインには、次のようなものがあります。

・尿が少ない
・尿の色が濃い
・口や唇が乾いている
・泣いても涙が少ない
・ぐったりしている
・目がくぼんで見える
・水分を飲めない
・何度も吐く

尿が長時間出ない、水分を飲めない、何度も吐く、ぐったりしている、血便や吐血がある場合は、脱水や重い病気の可能性も考えて早めに医療機関へ相談しましょう。

旅行中は、少し休んだら次へ行こうと考えがちですが、発熱時は休息が基本です。予定を詰めず、ホテルや宿泊先で休ませましょう。

解熱薬はつらさを和らげるために使う

子どもが熱を出すと、すぐに熱を下げたくなるかもしれません。

ただ、解熱薬は病気そのものを治す薬ではありません。熱によるつらさを和らげ、眠りやすくしたり、水分をとりやすくしたりするために使います。

子どもがつらそう、眠れない、水分がとりにくいなどの場合は、年齢や体重に合った解熱薬を使うことがあります。

旅行先で使う場合は、次の点に注意しましょう。

・子ども用の薬を使う
・年齢と体重に合った量を守る
・大人用の薬を自己判断で使わない
・複数の解熱薬を自己判断で重ねない
・アスピリンは子どもに使わない
・以前処方された薬を別の子に使い回さない

海外旅行では、薬の名前や成分が日本と異なることがあります。現地で薬を買う場合は、子どもの年齢、体重、症状、持病、アレルギーを伝えて、薬剤師や医師に確認しましょう。

解熱薬で一時的に熱が下がっても、ぐったりしている、水分がとれない、呼吸が苦しそう、発疹やけいれんがある場合は、薬で様子を見るのではなく医療機関へ相談してください。

受診を考えたいサイン

旅行先で子どもが発熱したとき、受診を考えたいサインがあります。

特に注意したいのは、月齢が低い赤ちゃん、全身状態が悪い場合、脱水が疑われる場合、呼吸が苦しそうな場合です。

次のような場合は、旅先でも医療機関や救急相談へ連絡しましょう。

・3か月未満の赤ちゃんが発熱している
・ぐったりしている
・呼びかけへの反応が悪い
・水分を飲めない
・尿が長時間出ていない
・何度も吐く
・呼吸が苦しそう
・唇や顔色が悪い
・けいれんがある
・首を痛がる、首が硬い
・強い頭痛がある
・発疹がある
・光をまぶしがる
・泣き方や機嫌が明らかに普段と違う
・発熱が数日続く
・持病がある、免疫を抑える薬を使っている

3か月未満の赤ちゃんの発熱は、早めの相談が必要です。また、月齢にかかわらず、反応が悪い、呼吸が苦しそう、水分がとれない、けいれんがある、発疹を伴う、強い頭痛や首の痛みがある場合は注意しましょう。

日本国内の旅行で判断に迷う場合は、小児救急電話相談「#8000」や、地域の救急相談窓口を利用する方法があります。宿泊先のフロントに、近くの小児科、夜間休日診療所、救急外来を確認してもらうのもよいでしょう。

旅行先で医療機関に伝えること

旅行先で受診するときは、短時間で状況を伝えられるようにしておくと安心です。

医療機関では、次の情報を伝えましょう。

・いつから熱があるか
・最高体温
・測った部位と時間
・咳、鼻水、のどの痛み
・下痢、嘔吐、腹痛
・発疹
・頭痛、首の痛み
・水分摂取量
・尿の回数
・食事がとれているか
・使った薬と時間
・持病やアレルギー
・周囲に同じ症状の人がいるか
・旅行先で食べたもの
・海外渡航歴や虫刺されの有無

海外旅行では、渡航先によって注意すべき感染症が変わります。発熱がある場合は、いつ、どの国や地域に滞在したか、蚊に刺されたか、動物に触れたか、生水や生ものを摂取したかなども伝えましょう。

旅行中の発熱では、医師に旅先であること、今後の移動予定があることも伝えると、帰宅や移動の可否、薬の持ち方、再診の目安を相談しやすくなります。

また、保険証、医療証、母子手帳、常備薬、内服中の薬の情報を持参しましょう。海外では、旅行保険の連絡先や通訳サービスも確認しておくと安心です。

旅行前に準備しておきたいもの

子どもの発熱は、いつ起こるか予測できません。

旅行前に準備しておくと、旅先で慌てにくくなります。

持っていきたいものは、体温計、子ども用の解熱薬、経口補水液、保険証、医療証、母子手帳、常備薬、マスク、手指消毒、ウェットティッシュ、ビニール袋、着替え、冷たいタオルを用意できるものなどです。

冷却シートは気持ちよさのために使うことはありますが、発熱そのものを治すものではありません。嫌がる場合に無理につける必要はありません。

海外旅行では、子ども用の薬、英文の薬剤情報、旅行保険、現地の医療機関、緊急連絡先を事前に確認しておきましょう。

また、出発前から体調が悪い場合は、無理に出発しない判断も大切です。発熱、強い咳、嘔吐や下痢、ぐったりしている状態での旅行は、子ども本人にも同行者にも負担が大きくなります。

旅行は予定どおり進めたいものですが、子どもの発熱時は、移動や観光より休息と安全を優先しましょう。

まとめ:発熱時は体温より子どもの様子を見る

旅行先で子どもが発熱したときは、まず体温を測り、意識、呼吸、水分摂取、尿、顔色、発疹、嘔吐、けいれんの有無を確認します。

水分を少しずつとらせ、涼しく落ち着ける場所で休ませましょう。解熱薬は、熱を下げるためだけではなく、つらさを和らげて水分や睡眠をとりやすくする目的で使います。

3か月未満の発熱、ぐったりしている、反応が悪い、水分がとれない、尿が少ない、呼吸が苦しそう、けいれん、発疹、強い頭痛や首の痛みがある場合は、旅先でも医療機関へ相談してください。

旅行中だからこそ、予定よりも子どもの体調を優先することが大切です。

参考文献

『こどもの救急』(日本小児科学会)
https://kodomo-qq.jp/

『子ども医療電話相談事業(#8000)について』(こども家庭庁)
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/for-parents-reminder/03

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