旅行中は、ホテルのベッドや階段、観光地の段差、プールサイド、公園の遊具などで、子どもが頭をぶつけることがあります。

子どもが頭を打つと、保護者としては「すぐ病院に行くべき?」「寝かせても大丈夫?」「何を見ればよい?」と不安になりやすいものです。

頭を打った後は、まず意識や呼吸、出血の有無を確認し、その後しばらく様子を見ることが大切です。この記事では、旅行中に子どもが頭をぶつけたときの確認ポイントと、受診を考えたいサインについて解説します。

まずは意識と呼吸を確認する

子どもが頭をぶつけた直後は、慌てて抱き上げる前に、まず意識と呼吸を確認します。

大声で泣いている場合は、呼吸ができていて、意識もある程度保たれている可能性が高いです。一方で、反応がない、呼びかけてもぼんやりしている、呼吸がおかしい場合は、すぐに救急対応が必要です。

ここでは、最初に確認したいことについて解説します。

呼びかけに反応するかを見る

名前を呼んだときに目を開けるか、保護者の声に反応するか、普段通り泣いたり話したりできるかを確認します。

泣いた後に落ち着いて、いつも通り受け答えできる場合は、ひとまず落ち着いて次の確認に進みます。

ただし、呼びかけへの反応が鈍い、ぼーっとしている、視線が合わない、いつもと様子が違う場合は注意が必要です。

すぐに動かしすぎない

頭を打った直後に首や背中を強く痛がる場合、無理に立たせたり動かしたりしないようにします。

高い場所から落ちた、強くぶつかった、首を痛がる、手足がしびれる、動かしにくい場合は、頭だけでなく首や背骨のケガも考える必要があります。

不安が強い場合は、その場で無理に移動させず、救急相談や医療機関へ連絡しましょう。

どのように頭をぶつけたかを確認する

頭を打ったときは、症状だけでなく、どのような状況でぶつけたかも大切です。

同じ「頭を打った」でも、低い位置で軽くぶつけた場合と、高い場所から落ちた場合では注意度が変わります。

ここでは、状況の確認ポイントについて解説します。

高さと勢いを確認する

ベッドや椅子から落ちたのか、階段から転げ落ちたのか、走って壁や柱にぶつかったのかなど、状況を確認します。

特に、高い場所から落ちた、強い勢いでぶつかった、硬い床やコンクリートに頭を打った場合は、症状が軽く見えても慎重に様子を見る必要があります。

旅行中は、ホテルの床、浴室、プールサイド、石畳、階段など、普段と違う環境で転びやすくなります。

どこをぶつけたかを見る

おでこ、後頭部、側頭部、頭頂部など、どこをぶつけたか確認します。

おでこにたんこぶができることは比較的よくありますが、後頭部や側頭部を強くぶつけた場合、症状の変化に注意が必要です。

頭皮は血流が多いため、小さな傷でも出血が多く見えることがあります。出血がある場合は、清潔なガーゼやタオルで圧迫しましょう。

すぐ受診・救急相談を考えたいサイン

頭を打った後に危険なサインがある場合は、旅行先でも早めに医療機関へ相談します。

特に意識の変化、繰り返す嘔吐、けいれん、強い頭痛などは注意が必要です。

ここでは、すぐ受診や救急相談を考えたいサインについて解説します。

すぐ相談したい症状

次のような症状がある場合は、救急相談や医療機関への受診を考えてください。

・意識がない、または意識がぼんやりしている
・呼びかけへの反応が悪い
・けいれんがあった
・何度も吐く
・強い頭痛を訴える
・機嫌が極端に悪い状態が続く
・眠ってばかりで起こしにくい
・歩き方がふらつく
・手足を動かしにくい
・見え方がおかしい、ものが二重に見える
・耳や鼻から血や透明な液体が出る
・傷が深い、出血が止まらない
・高い場所から落ちた
・首を強く痛がる

これらがある場合は、「旅行中だから」「もう少し様子を見よう」と無理をせず、現地の医療機関や救急相談につなげましょう。

乳幼児は様子の変化に注意する

小さな子どもは、頭痛や気持ち悪さをうまく言葉にできません。

泣き方がいつもと違う、抱っこしても落ち着かない、ミルクや食事をとらない、顔色が悪い、ぐったりしている、いつもより反応が鈍いといった変化に注意します。

保護者から見て「いつもと違う」と感じる場合は、早めに相談してよい状況です。

すぐに症状がなくても数時間は様子を見る

頭を打った直後に泣いて、その後元気に見える場合でも、しばらくは様子を見ることが大切です。

頭部打撲の症状は、直後だけでなく、数時間たってから出ることがあります。

ここでは、旅行中にどのように観察するかを解説します。

当日は無理な予定を入れない

頭を打った当日は、できるだけ激しい遊びや長時間の移動を避けましょう。

観光、プール、海、スキー、アスレチックなどは、子どもが元気そうに見えても無理をしない方が安心です。

旅行中は予定を優先したくなりますが、頭を打った日は「様子を見る時間」を確保してください。

眠ってもよいが、様子は確認する

頭を打った後に眠くなると心配になることがあります。

普段の昼寝や夜の睡眠時間で、呼びかけに反応し、顔色や呼吸が普段通りであれば、眠ること自体が必ずしも悪いわけではありません。

ただし、起こしても反応が悪い、呼吸がおかしい、顔色が悪い、ぐったりしている場合は、すぐに相談が必要です。

たんこぶや出血があるときの対応

頭をぶつけると、たんこぶができたり、頭皮から出血したりすることがあります。

頭皮は血が出やすいため、少しの傷でも出血が多く見えることがあります。

ここでは、たんこぶや出血への対応について解説します。

たんこぶは冷やして様子を見る

たんこぶがある場合は、タオルで包んだ保冷剤や冷たいタオルで短時間冷やします。

直接氷を皮膚に当て続けると、冷えすぎて皮膚を傷めることがあります。冷やすときは、タオルなどで包み、子どもが嫌がる場合は無理に続けないようにしましょう。

たんこぶがどんどん大きくなる、強い痛みがある、普段と様子が違う場合は受診を考えます。

出血は清潔な布で圧迫する

頭皮に傷があり出血している場合は、清潔なガーゼやタオルで押さえます。

数分間しっかり圧迫し、途中で何度も確認しすぎないようにします。出血が止まらない、傷が深い、傷口が開いている、異物が入っている場合は、医療機関で処置が必要になることがあります。

髪の毛で傷が見えにくい場合もあるため、明るい場所で確認しましょう。

頭を打った後に避けたいこと

頭を打った後は、症状を悪化させたり、変化に気づきにくくしたりする行動を避けることが大切です。

旅行中は楽しい予定が続くため、子どもが「遊びたい」と言っても、当日は慎重に過ごしましょう。

ここでは、避けたい行動について解説します。

激しい運動や遊びは避ける

頭を打った当日は、走り回る、ジャンプする、プールや海で遊ぶ、スキーを続ける、遊具で遊ぶなどは避けましょう。

再び転んだり、頭を打ったりすると、状態が悪くなる可能性があります。

少なくともその日は、室内で静かに過ごせる予定に切り替えるのがおすすめです。

自己判断で薬を使いすぎない

頭痛を訴える場合でも、自己判断で痛み止めを繰り返し使うのは避けましょう。

薬で症状が分かりにくくなることがあります。痛みが強い、繰り返す、いつもと違う様子がある場合は、薬で様子を見るより医療機関へ相談してください。

持病がある子、普段から薬を飲んでいる子は、旅行前に主治医へ相談しておくと安心です。

旅行先で医療機関に伝えること

旅行中に受診する場合、状況をうまく伝えることが診察の助けになります。

慌てていると説明が抜けやすいため、スマホのメモに記録しておくと便利です。

ここでは、医療機関に伝えたい内容を整理します。

ぶつけた状況を伝える

受診時には、次のような情報を伝えましょう。

・何時ごろ頭を打ったか
・どこで、何にぶつけたか
・どのくらいの高さから落ちたか
・すぐ泣いたか
・意識がなかった時間があるか
・吐いたか
・けいれんがあったか
・現在の様子
・食事や水分がとれているか
・普段と違う様子があるか
・持病や内服薬があるか

頭をぶつけた場所や床の硬さ、落ちた高さが分かると、医療者が判断しやすくなります。

症状の変化をメモする

旅行中は移動や予定で時間の感覚があいまいになりやすいです。

何時にぶつけたか、何時に吐いたか、何時から眠そうになったかなどを記録しておきましょう。

写真でたんこぶや傷の変化を残しておくのも、説明の助けになることがあります。

旅行前に準備しておきたいこと

子ども連れ旅行では、ケガや急な体調不良に備えておくと安心です。

頭をぶつけたときも、連絡先や持ち物が準備できていると、落ち着いて対応しやすくなります。

ここでは、旅行前に準備しておきたいことを紹介します。

相談先を確認しておく

国内旅行では、夜間や休日に相談できる窓口を確認しておきましょう。

子どもの急な症状で迷う場合は、小児救急電話相談を利用できることがあります。地域や時間帯によって対応が異なるため、旅行先の情報も確認しておくと安心です。

海外旅行では、旅行保険の緊急連絡先、現地で受診できる医療機関、日本語対応の有無を事前に確認しておきましょう。

持っておきたいもの

旅行中のケガに備えて、次のようなものを持っておくと便利です。

・保険証、医療証
・母子手帳や予防接種歴のメモ
・常備薬
・清潔なガーゼ
・絆創膏
・小さな保冷剤
・タオル
・体温計
・スマホの充電器
・旅行保険の連絡先
・現地医療機関を調べる手段

子どもの年齢、持病、旅行先の環境に合わせて準備しておきましょう。

まとめ:頭を打った後は「いつもと違う」を見逃さない

旅行中に子どもが頭をぶつけたときは、まず意識と呼吸を確認し、出血やたんこぶの有無を見ます。

その後、しばらくは普段と違う様子がないか観察しましょう。意識がぼんやりしている、何度も吐く、けいれんがある、強い頭痛がある、起こしにくい、歩き方がおかしい、見え方がおかしいなどの症状がある場合は、旅行先でも医療機関へ相談してください。

頭を打った当日は、元気そうに見えても無理な予定を入れず、静かに過ごすことが大切です。

保護者が「いつもと違う」と感じる場合は、迷わず相談しましょう。

参考文献

『小児頭部外傷時のCT撮像基準の提言・指針』(日本小児神経学会)
https://www.childneuro.jp/uploads/files/about/iryoanzenS_headinjuryCT_201911.pdf

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