旅行に行きたい気持ちはあっても、車、バス、船、飛行機で酔いやすいと、移動そのものが不安になることがあります。

「目的地に着く前に気持ち悪くなったらどうしよう」「バスツアーや船移動があると不安」「酔い止めを飲むべきか迷う」と感じる方もいるでしょう。

乗り物酔いは、乗り物の揺れによって、吐き気、めまい、冷や汗、顔色不良、頭痛、嘔吐などが起こる状態です。旅行前の体調管理、座る場所、移動中の過ごし方、薬の使い方を工夫することで、症状を軽くできる場合があります。

ここでは、旅行中の乗り物酔いを防ぐために確認したいポイントについて解説します。

乗り物酔いとは

乗り物酔いは、車、バス、船、飛行機、電車などで移動しているときに起こる体調不良です。医学的には動揺病とも呼ばれます。

体は揺れを感じているのに、目から入る情報はあまり動いていない、あるいはその逆のように、感覚のずれが生じることで起こりやすくなります。車内でスマートフォンや本を見ていると酔いやすくなるのは、このずれが強くなりやすいためです。

乗り物酔いでは、吐き気やめまいのほか、冷や汗、顔色不良、だるさ、頭痛、眠気、あくび、嘔吐などがみられることがあります。

乗り物酔いが起こりやすい人

乗り物酔いの起こりやすさには個人差があります。子どもの頃から酔いやすい人もいれば、大人になってから疲労や体調不良のときに酔いやすくなる人もいます。

次のような状況では、乗り物酔いが起こりやすくなります。

  • 寝不足
  • 空腹
  • 食べすぎ
  • 疲労がたまっている
  • 体調がすぐれない
  • 車内や船内のにおいが苦手
  • カーブや揺れが多い
  • スマートフォンや本を見る
  • 不安や緊張が強い
  • 過去に酔った経験があり、移動前から不安がある

乗り物酔いは、体の状態だけでなく、心理的な緊張も関係することがあります。毎回酔うわけではない人でも、「今回は大丈夫かな」と不安が強いと、吐き気を感じやすくなることがあります。

旅行前にできる乗り物酔い対策

旅行中の乗り物酔いを防ぐには、移動が始まってからの対応だけでなく、出発前の準備が大切です。体調を整えておくと、同じ移動でも負担を感じにくくなることがあります。

前日は睡眠をしっかり取る

寝不足は、乗り物酔いを起こしやすくする要因の一つです。

旅行前日は荷造りや準備で寝る時間が遅くなりがちですが、酔いやすい人ほど睡眠時間を確保しておくことが大切です。早朝出発の場合は、前日のうちに荷物をまとめ、朝に慌てないようにしておくとよいでしょう。

食事は軽めにする

空腹でも満腹でも、乗り物酔いが起こりやすくなることがあります。

出発前は、消化のよい食事を軽めに取るのがおすすめです。脂っこい食事、食べすぎ、においの強い食品、アルコールは控えめにすると安心です。

酔い止め薬を使う場合は早めに確認する

市販の酔い止め薬を使う場合は、対象年齢、用法、服用タイミング、眠気の有無を確認しておきましょう。

薬によっては、移動の30分前など、事前に服用することで効果を発揮しやすいものがあります。持病がある方、妊娠中の方、授乳中の方、ほかの薬を飲んでいる方、高齢の方は、使用前に医師や薬剤師へ相談しておくと安心です。

車で酔いやすい場合の工夫

車は自由に休憩しやすい一方で、カーブ、渋滞、におい、車内温度などによって酔いやすくなることがあります。

前方を見やすい席に座る

車では、進行方向を見やすい席に座ると楽になることがあります。可能であれば助手席や、前方の景色が見えやすい席を選びましょう。

ただし、安全が最優先です。子どもが同乗する場合は年齢や体格に合ったチャイルドシートを使用し、運転者はもちろん、同乗者もシートベルトを正しく着用します。

スマートフォンや読書を避ける

車内でスマートフォン、本、タブレットを見続けると、乗り物酔いが起こりやすくなります。

酔いやすい人は、画面を見る時間を短くし、遠くの景色を見る、音楽を聞く、会話をするなどの過ごし方に変えてみましょう。MSDマニュアル家庭版でも、乗り物酔いの予防として、視線や頭部をできるだけ動かさないこと、新鮮な空気を入れること、文字を読まないことが挙げられています。

こまめに休憩する

長時間の車移動では、目的地まで一気に進もうとせず、休憩を入れることが大切です。

休憩中は、外の空気を吸う、軽く歩く、水分を取る、トイレを済ませるなどして体をリセットしましょう。カーブの多い山道や渋滞が続く道では、早めの休憩が役立つことがあります。

バスで酔いやすい場合の工夫

高速バスや観光バスは、自分のタイミングで停車できないため、酔いやすい人にとって不安が大きくなりやすい移動手段です。

座席は前方から中央付近を選ぶ

バスでは、後方席ほど揺れを感じやすいことがあります。座席を選べる場合は、前方から中央付近を検討しましょう。

窓側で外の景色を見られる方が安心する人もいます。ただし、流れる景色を近くで見続けるとかえって気分が悪くなることもあるため、遠くを見るようにするとよいでしょう。

乗車前に準備しておく

バス移動では、出発前にトイレを済ませ、飲み物、エチケット袋、タオル、酔い止め薬を手元に置いておくと安心です。

荷物をトランクに預けてしまうと、必要なものを取り出せません。乗り物酔い対策のものは、座席に持ち込む小さなバッグへ入れておきましょう。

空腹と食べすぎを避ける

長距離バスでは、乗車前の食事量にも注意します。

空腹で気持ち悪くなる人もいれば、食べすぎで吐き気が出る人もいます。自分の傾向に合わせて、軽めの食事や消化のよい軽食を選ぶとよいでしょう。

船や飛行機で酔いやすい場合の工夫

船や飛行機は、車やバスとは揺れ方が異なります。旅行先によっては避けにくい移動手段になるため、事前に対策を考えておくと安心です。

船では揺れの少ない場所を選ぶ

船酔いが心配な場合は、できるだけ揺れの少ない場所を選びます。船の中央付近は、比較的揺れが少ないことがあります。

外の空気を吸える場所に出られる場合は、遠くの水平線を見ると楽になることがあります。船内で読書やスマートフォンを続けるのは避けた方がよいでしょう。

飛行機では睡眠と水分を意識する

飛行機では、揺れに加えて、緊張、寝不足、空腹、気圧の変化などが重なることがあります。

搭乗前に食事を軽めにし、機内では水分を少しずつ取るとよいでしょう。座席画面やスマートフォンを長く見続けると気分が悪くなる人は、目を閉じて休む時間を作るのがおすすめです。

酔い止め薬のタイミングを確認する

船や飛行機は、乗ってからすぐ降りられないことが多いため、酔い止め薬を使う場合は服用タイミングを事前に確認しておきましょう。

薬を使うか迷う場合は、旅行前に薬剤師へ相談しておくと、自分に合った選択をしやすくなります。

乗り物酔いが起きたときの対応

対策をしていても、乗り物酔いが起こることはあります。大切なのは、早めに対応し、無理を続けないことです。

早めに休む

気持ち悪さ、あくび、冷や汗、顔色不良、頭痛などが出てきたら、早めに休みます。

車なら安全な場所で停車し、外の空気を吸いましょう。バスや飛行機など、すぐに降りられない場合は、頭をできるだけ動かさず、楽な姿勢を取ります。

水分は少しずつ取る

吐き気があるときに一度にたくさん飲むと、かえって気持ち悪くなることがあります。

水分は少量ずつ取りましょう。嘔吐した場合は、落ち着いてから口をゆすぎ、少しずつ水分を再開します。無理に食べる必要はありません。

衣服をゆるめる

首元やお腹まわりが締めつけられていると、気分が悪く感じることがあります。

ベルト、襟元、上着などをゆるめ、体を楽にします。車内や船内が暑い場合は、涼しい環境に移動することも大切です。

乗り物酔いと間違えやすい体調不良

旅行中の吐き気や嘔吐は、すべて乗り物酔いとは限りません。感染症、食あたり、熱中症、片頭痛などが隠れていることもあります。

発熱や下痢がある場合

吐き気に加えて、発熱、下痢、腹痛がある場合は、乗り物酔い以外の体調不良も考えます。

乗り物を降りてしばらく休んでも改善しない場合や、症状が強い場合は、旅先での受診や相談を検討しましょう。

暑い場所で悪化した場合

暑い車内、屋外観光、長時間の移動後に、吐き気、頭痛、だるさ、ふらつき、顔色不良がある場合は、熱中症にも注意が必要です。

涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめ、水分が取れる場合は少しずつ飲みます。意識がぼんやりしている、水分が取れない、ぐったりしている場合は、早めの対応が必要です。

いつもと違う症状がある場合

乗り物酔いに慣れている人でも、いつもと違う症状があるときは注意しましょう。

強い頭痛、繰り返す嘔吐、意識がぼんやりする、手足のしびれ、胸痛、息苦しさ、強い腹痛などがある場合は、乗り物酔いだけと決めつけないことが大切です。

旅行中に持っておきたい乗り物酔い対策グッズ

酔いやすい人は、必要なものをすぐ取り出せる場所にまとめておくと安心です。

準備しておきたいものは、以下の通りです。

  • エチケット袋
  • タオル
  • ウェットティッシュ
  • 軽いおやつ
  • 酔い止め薬
  • マスク
  • ビニール袋
  • 替えの服
  • 口をゆすぐための水
  • 小さなポーチ
  • イヤホン
  • ネックピロー

エチケット袋やタオルは、持っているだけで安心材料になります。使わないで済めばそれが一番ですが、あるだけで移動中の不安を減らしやすくなります。

不安が強いときの考え方

乗り物酔いは、一度つらい経験をすると、次の旅行でも不安になりやすいものです。

「また酔うかもしれない」と考えるほど、移動前から体に力が入り、気分が悪くなりやすいことがあります。

対策としては、次のような考え方が役立ちます。

  • 酔いやすい移動手段を把握しておく
  • 休憩できる場所を確認しておく
  • 酔い止め薬を準備しておく
  • エチケット袋や水を手元に置く
  • 無理にスマートフォンを見ない
  • 旅行日程に余裕を持たせる
  • 「気持ち悪くなったら休めばよい」と考える

乗り物酔いを完全にゼロにしようとすると、かえって不安が強くなることがあります。対策を用意したうえで、無理をしない計画にしておくことが大切です。

旅行前の乗り物酔いチェックリスト

出発前に、次の項目を確認しておくと安心です。

体調の確認

  • 睡眠をしっかり取った
  • 空腹や満腹を避けた
  • 体調不良がない
  • 疲れをためすぎていない
  • アルコールを控えた

持ち物の確認

  • 酔い止め薬
  • エチケット袋
  • タオル
  • ウェットティッシュ
  • 軽いおやつ
  • マスク
  • ビニール袋
  • 替えの服
  • 口をゆすぐ水

移動中の確認

  • スマートフォンや読書を控える
  • 遠くの景色を見る
  • 頭を大きく動かしすぎない
  • 車内や船内を暑くしすぎない
  • こまめに休憩する
  • 気持ち悪くなったら早めに伝える

まとめ

乗り物酔いがあると、旅行の楽しみよりも移動への不安が大きくなることがあります。

ただし、出発前に睡眠を取る、食事を軽めにする、酔い止め薬を確認する、座席を工夫する、スマートフォンや読書を避ける、こまめに休憩するなどの対策で、症状を軽くできる場合があります。

気持ち悪くなったときは、無理に我慢せず、早めに休むことが大切です。吐き気や嘔吐があっても、発熱、下痢、強い頭痛、意識の変化などを伴う場合は、乗り物酔い以外の体調不良も考えましょう。

酔いやすい体質があっても、旅行をあきらめる必要はありません。自分に合った対策を準備して、移動時間もできるだけ安心して過ごせる旅にしていきましょう。

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るんるん
30代医師夫婦|旅行に役立つ情報発信|子どもは2人