子連れ旅行で意識したい水分補給
子連れ旅行では、移動中の水分不足が心配になることがあります。
車や電車、飛行機での移動中は、トイレのタイミングを気にして水分を控えたり、遊びや観光に夢中になって飲むのを忘れたりしやすいものです。
子どもは大人より体調の変化をうまく伝えられないこともあり、暑さ、汗、下痢、嘔吐などが重なると脱水に注意が必要です。
この記事では、子連れ旅行で意識したい水分補給のタイミングや飲み物の選び方、受診を考えたいサインについて解説します。
子どもは水分不足になりやすい

子どもは体が小さく、汗や尿として水分が失われやすいため、旅行中は水分不足に注意が必要です。
特に暑い日や屋外で過ごす時間が長い日は、のどが渇いたと言う前からこまめに飲ませることが大切です。こども家庭庁も、子どもは脱水を起こしやすく、のどの渇きを感じなくても定期的な水分補給が大切としています。
ここでは、子どもが旅行中に水分不足になりやすい理由について解説します。
旅行中は飲むタイミングを逃しやすい
移動中は、トイレの場所が分からない、乗り物から降りられない、荷物が多いなどの理由で、水分補給が後回しになりがちです。
子ども自身も、遊びや景色に気を取られて、のどの渇きに気づきにくいことがあります。
「飲みたい?」と聞くだけでは「いらない」と言うこともあるため、大人が時間を決めて声をかけると安心です。
暑さや汗で水分が失われる
夏の旅行、テーマパーク、海、キャンプ、ハイキング、屋外イベントでは、汗で水分と塩分が失われます。
「涼しい室内にいるから大丈夫」と思っていても、移動や待ち時間で汗をかいていることがあります。
移動中は少しずつ飲ませる

旅行中の水分補給は、一度にたくさん飲ませるより、少しずつこまめに飲む方が続けやすくなります。
特に車や電車、飛行機では、出発前、休憩時、到着後など、飲むタイミングをあらかじめ作っておくと安心です。
ここでは、移動中の水分補給の工夫について解説します。
出発前にひと口飲ませる
出発前は、トイレを済ませた後に少し水分をとっておきましょう。
朝早い出発では、寝起きで水分が不足しやすくなります。朝食を十分に食べられない場合でも、水やお茶などを少し飲めると安心です。
「出発前に飲む」を習慣にしておくと、移動中の水分不足を防ぎやすくなります。
休憩ごとに飲む習慣を作る
車移動では、サービスエリアやコンビニで休憩するたびに、トイレと水分補給をセットにしましょう。
電車や飛行機でも、乗る前、乗り換え時、到着後などにひと口飲ませるだけで違います。
子どもが一度にたくさん飲みたがらない場合は、数口ずつで構いません。
トイレを心配してゼロにしない
移動中は、トイレが心配で水分を控えたくなることがあります。
ただし、水分を極端に減らすと、頭痛、だるさ、便秘、熱中症のリスクにつながることがあります。
トイレの心配がある場合は、出発前にトイレを済ませ、休憩場所をあらかじめ確認しながら、少しずつ水分をとるようにしましょう。
飲み物は水やお茶を基本にする

旅行中の水分補給は、水や麦茶など、普段から飲み慣れているものを基本にすると続けやすくなります。
甘い飲み物ばかりになると、食事が入りにくくなったり、余計にのどが渇いたりすることがあります。
ここでは、旅行中の飲み物の選び方について解説します。
基本は水・麦茶・薄めのお茶
日常的な水分補給には、水や麦茶が使いやすいです。
カフェインを含むお茶は、子どもの年齢や量によっては飲みすぎに注意が必要です。普段から飲んでいるもの、子どもが嫌がらず飲めるものを選びましょう。
暑い時期は、冷たすぎる飲み物を一気に飲むとお腹が痛くなることもあるため、少しずつ飲ませるのがおすすめです。
汗をたくさんかいたら塩分も意識する
長時間屋外で遊んだ、汗をたくさんかいた、暑い中で移動した場合は、水分だけでなく塩分も意識します。
スポーツドリンクや経口補水液は便利ですが、使い分けが大切です。スポーツドリンクは、汗をかいた後の水分と電解質の補給に使いやすい一方、糖分も含まれます。
経口補水液は、下痢や嘔吐、脱水が心配なときに役立つことがありますが、日常的にジュースのように飲むものではありません。
ジュースだけにしない
旅行中は、子どもがジュースを欲しがることがあります。
楽しみとして少量飲むのはよいですが、ジュースだけで水分補給をしようとすると、糖分が多くなりやすくなります。
水や麦茶を基本にして、ジュースは楽しみの範囲にする方が安心です。
暑い日や屋外では早めに飲む

暑い日や屋外で過ごす日は、のどが渇いてからではなく、早めに飲むことが大切です。
ここでは、暑い日や屋外での水分補給について解説します。
遊ぶ前に飲む
テーマパーク、公園、海、プール、キャンプ、ハイキングなどでは、遊び始める前に少し飲んでおきましょう。
遊びに夢中になると、子どもは途中で飲むことを忘れやすくなります。
「遊ぶ前にひと口」「並ぶ前にひと口」「乗る前にひと口」のように、行動の前に水分補給を入れると続けやすくなります。
日陰や涼しい場所で休憩する
水分補給だけでなく、暑さを避けることも大切です。
屋外では、帽子を使う、日陰で休む、冷房のある場所に入る、保冷剤や冷たいタオルで体を冷やすなどを組み合わせましょう。熱中症対策では、暑さを避けることと水分補給の両方が大切です。
予定を詰め込みすぎず、休憩時間をあらかじめ入れておくと安心です。
下痢や嘔吐があるときは脱水に注意する

旅行中に下痢や嘔吐があると、水分だけでなく電解質も失われやすくなります。
特に乳幼児や小さな子どもでは、脱水が進みやすいことがあります。CDC Yellow Bookでも、旅行者下痢症の子どもでは経口補水液による早めの補水が重要とされています。
ここでは、体調不良時の水分補給について解説します。
少量ずつこまめに飲ませる
吐き気があるときに一度に多く飲ませると、吐いてしまうことがあります。
スプーン、少量のコップ、ストローなどで、少しずつこまめに飲ませましょう。
吐いた直後は無理に飲ませず、少し落ち着いてから、少量ずつ再開します。
経口補水液を使う場面
下痢や嘔吐がある、汗をたくさんかいた、尿が少ない、口が乾いているなど、脱水が心配なときは、経口補水液が役立つことがあります。
ただし、年齢や持病によって注意が必要な場合があります。乳児、持病がある子、症状が強い子では、医療機関や薬剤師に相談しながら使いましょう。
水分不足のサインを見逃さない

子どもは「のどが渇いた」「気持ち悪い」とうまく言えないことがあります。
そのため、保護者が尿の回数、機嫌、口の乾き、元気さなどを見ておくことが大切です。
ここでは、水分不足で注意したいサインについて解説します。
軽いサイン
次のような様子がある場合は、水分不足の始まりかもしれません。
・唇や口が乾いている
・尿の回数が少ない
・尿の色が濃い
・元気がない
・機嫌が悪い
・頭が痛いと言う
・便が硬い
・食欲が落ちている
まずは涼しい場所で休み、少しずつ水分をとらせましょう。
すぐ相談したいサイン
次のような場合は、旅行先でも医療機関や救急相談を考えてください。
・ぐったりしている
・呼びかけへの反応が悪い
・水分をほとんど飲めない
・何度も吐く
・尿が長時間出ていない
・涙が出ない
・口の中がかなり乾いている
・目が落ちくぼんでいる
・高熱がある
・強い腹痛や血便がある
重い脱水が疑われる場合は、すぐに医療機関での対応が必要です。
年齢別に水分補給の工夫を変える

子どもの水分補給は、年齢によって工夫が変わります。
自分で飲める子もいれば、声かけや環境づくりが必要な子もいます。
ここでは、年齢別に意識したいことを紹介します。
乳幼児は保護者がこまめに確認する
乳幼児は、のどの渇きや体調不良を言葉で伝えられません。
おむつの濡れ具合、機嫌、泣いたときの涙、口の乾き、顔色を見ながら判断します。
授乳中の子では、暑い日や体調不良時に授乳回数が変わることがあります。いつもより飲めない、ぐったりしている場合は早めに相談しましょう。
幼児は飲むきっかけを作る
幼児は、遊びに夢中になると水分補給を忘れやすいです。
好きな水筒を持たせる、シールを貼る、休憩ごとに一緒に飲むなど、飲むきっかけを作るとよいでしょう。
「今飲まないとダメ」と強く言うより、「次に遊ぶ前にひと口飲もう」と行動とセットにすると続けやすくなります。
小学生は自分で持てる水筒を用意する
小学生では、自分の水筒を持たせると飲みやすくなります。
ただし、持たせるだけでは飲まないこともあります。移動前、休憩時、食事前後など、飲むタイミングを一緒に確認しておきましょう。
旅行前に準備しておきたいもの

子連れ旅行の水分補給は、出発前の準備でかなり楽になります。
現地で買えると思っていても、移動中や混雑時にはすぐ手に入らないことがあります。
ここでは、旅行前に準備しておきたいものを紹介します。
持っておきたいもの
・子ども用の水筒
・ペットボトルの水や麦茶
・ストロー付きボトル
・経口補水液
・ゼリータイプの補水用品
・保冷バッグ
・保冷剤
・塩分補給できる食品
・着替え
・タオル
・ビニール袋
・母子手帳や保険証
・旅行保険の連絡先
暑い地域や海外旅行では、到着直後に飲み物を買えるとは限りません。移動中に必要な分は、手元に用意しておきましょう。
機内や新幹線では手元に置く
飲み物をスーツケースに入れてしまうと、移動中に取り出せません。
機内や新幹線、車の中で飲む分は、すぐ取り出せるバッグに入れておきましょう。
飛行機では液体物の持ち込み制限があるため、保安検査後に購入する、空のボトルを持って行って搭乗前に水を入れるなどの方法もあります。
まとめ:子連れ旅行では「のどが渇く前」に少しずつ飲む

子連れ旅行では、移動中や観光中に水分補給のタイミングを逃しやすくなります。
子どもは水分不足に気づきにくく、暑さ、汗、下痢、嘔吐などが重なると脱水に注意が必要です。
基本は、水や麦茶などを少しずつこまめに飲むことです。暑い日やたくさん汗をかいた日は、塩分補給も意識しましょう。下痢や嘔吐があるときは、経口補水液を少量ずつ使うこともあります。
唇や口の乾き、尿が少ない、元気がない、ぐったりしている、水分を飲めない、何度も吐くといったサインがある場合は、旅行先でも早めに医療機関へ相談してください。
旅行を楽しむためにも、飲み物は「必要になったら買う」ではなく、「すぐ飲めるように持っておく」ことが大切です。
参考文献
『みんなで見守り「こどもの熱中症」を防ぎましょう!』(こども家庭庁)
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/cases/netchusho
『熱中症を防ぎましょう』(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html
『熱中症環境保健マニュアル2022』(環境省)
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php