フェリーや船旅は、海の景色を楽しめる一方で、船酔いが心配になる方も少なくありません。

「船に乗ると気持ち悪くなりやすい」「フェリーで長時間移動するのが不安」「子どもや家族が船酔いしないか心配」と感じることもあるでしょう。

船酔いは、体が感じている揺れと、目から入る情報がずれることで起こりやすくなります。吐き気、めまい、冷や汗、頭痛、だるさなどが出ることがあり、船旅の楽しさを大きく左右することもあります。

ただし、船酔いは事前の準備や船内での過ごし方によって、つらさを減らせる場合があります。ここでは、船酔いしやすい人が旅行前にできる対策について解説します。

船酔いとは

船酔いは、乗り物酔いの一種です。車、バス、飛行機、電車でも起こりますが、船では波による上下左右の揺れが続くため、酔いやすい方では症状が出やすくなります。

ここでは、船酔いとはどのような状態かを解説します。

体の揺れと目の情報がずれて起こる

船酔いは、耳の奥にある平衡感覚、目から入る情報、体の姿勢を感じる感覚の間にずれが生じることで起こりやすくなります。

たとえば、船内で本やスマートフォンを見ていると、目は「止まっている」と感じます。一方で、内耳は船の揺れを感じています。この情報のずれが大きくなると、吐き気やめまいにつながることがあります。

船は揺れが続きやすい

船酔いが起こりやすい理由の一つは、揺れが続くことです。

船は波や風の影響を受けるため、短時間だけでなく、一定時間揺れが続くことがあります。特に小型船、悪天候の日、外海に出る航路では、揺れを感じやすくなります。

大型フェリーやクルーズ船では揺れが少ないこともありますが、体質や海況によっては酔うことがあります。

慣れで軽くなることもある

船酔いは、同じ揺れに慣れることで軽くなる場合があります。

一方で、年に数回の旅行や、初めての船旅では、体が揺れに慣れる前に症状が出ることがあります。酔いやすい方は、最初から無理をせず、酔いにくい過ごし方を意識しておくことが大切です。

船酔いで起こりやすい症状

船酔いの症状は、軽い気分不快から、嘔吐を繰り返す状態まで幅があります。早めに気づいて対応すると、悪化を防ぎやすくなります。

ここでは、船酔いで起こりやすい症状について解説します。

吐き気や嘔吐

船酔いで最もよく知られている症状は、吐き気や嘔吐です。

最初は「なんとなく気持ち悪い」「胃が重い」と感じる程度でも、揺れが続いたり、においや暑さが加わったりすると、吐き気が強くなることがあります。

嘔吐がある場合は、無理に食べず、落ち着いてから水分を少しずつ取ることが大切です。

めまいや冷や汗

船酔いでは、めまい、ふらつき、冷や汗が出ることがあります。

顔色が悪くなる、あくびが増える、ぼんやりする、横になりたくなるといった変化が出ることもあります。酔い始めのサインに気づいたら、早めにスマートフォンや読書をやめ、楽な姿勢で休みましょう。

頭痛やだるさ

吐き気だけでなく、頭痛、眠気、だるさ、集中しにくさが出ることもあります。

旅行中は予定を優先したくなりますが、船酔いが出たときは、無理に食事や観光を続けるより、静かに休む方が回復しやすくなります。

船酔いしやすい人の特徴

船酔いの起こりやすさには個人差があります。体質だけでなく、その日の体調や過ごし方も影響します。

ここでは、船酔いしやすい人の特徴について解説します。

乗り物酔いしやすい

車、バス、飛行機、電車などで酔いやすい方は、船でも酔いやすいことがあります。

特に、カーブの多い道路で酔う、後部座席で気持ち悪くなる、スマートフォンを見ると酔いやすい方は、船旅でも対策を考えておくと安心です。

睡眠不足や疲れがある

睡眠不足、疲労、空腹、脱水、緊張などがあると、船酔いが出やすくなることがあります。

旅行前日は荷造りや移動準備で寝る時間が遅くなりがちですが、酔いやすい方ほど、前日の睡眠を優先した方が安心です。

片頭痛や体調不良がある

片頭痛がある方では、乗り物酔いが起こりやすいことがあります。また、風邪気味、発熱、胃腸の不調、寝不足などがあると、普段より酔いやすくなる場合があります。

出発前から体調が悪い場合は、船旅の予定や移動手段を見直すことも選択肢です。

旅行前にできる船酔い対策

船酔い対策は、船に乗ってからだけでなく、旅行前から始めると効果的です。

ここでは、旅行前にできる船酔い対策について解説します。

前日は睡眠をしっかり取る

睡眠不足は、船酔いを悪化させる要因になります。

旅行前日は、荷造りや移動準備を早めに済ませ、できるだけ睡眠時間を確保しましょう。早朝出発の場合は、前日に必要なものをまとめておくと、当日の慌ただしさを減らせます。

食事は軽めにしておく

空腹でも満腹でも、船酔いがつらくなることがあります。

乗船前は、脂っこい食事、食べすぎ、アルコールの飲みすぎを避け、消化のよい食事を軽めに取るとよいでしょう。胃に負担がかかる食事は、船内での吐き気につながることがあります。

一方で、何も食べずに乗ると気持ち悪くなる方もいます。自分に合う量を意識し、無理のない食事にしましょう。

酔い止め薬を事前に確認する

船酔いしやすい方は、酔い止め薬を旅行前に確認しておくと安心です。

酔い止め薬は、症状が出てからよりも、乗船前に使う方が効果を期待しやすいものがあります。市販薬でも、眠気、口の渇き、年齢制限、持病や併用薬との関係に注意が必要です。

子ども、妊娠中の方、高齢者、緑内障や前立腺肥大、心臓病などがある方、日常的に薬を飲んでいる方は、薬剤師や医師に相談してから選ぶと安心です。

船内で酔いにくくする過ごし方

船に乗ってからの過ごし方でも、船酔いの出やすさは変わります。揺れを感じにくい場所を選び、視線や姿勢を整えることが大切です。

ここでは、船内で酔いにくくする過ごし方について解説します。

揺れにくい場所で過ごす

船内では、揺れを感じにくい場所を選ぶと過ごしやすくなります。

一般に、船の中央付近や低めの階は揺れを感じにくいことがあります。反対に、船の前方や上の階は揺れを感じやすい場合があります。

フェリーやクルーズ船で座席や客室を選べる場合は、酔いやすいことを考えて場所を選ぶとよいでしょう。

遠くの景色や水平線を見る

船酔い対策では、遠くの景色や水平線を見ることが役立つ場合があります。

スマートフォン、本、ゲームなど、近くのものを見続けると、目の情報と体の揺れのずれが大きくなり、酔いやすくなることがあります。気持ち悪くなりそうなときは、画面を見るのをやめ、遠くを眺めるようにしましょう。

頭を大きく動かさない

頭を大きく動かすと、平衡感覚が刺激され、酔いやすくなることがあります。

船内では、できるだけ楽な姿勢で、頭を安定させて過ごしましょう。横になれる環境であれば、目を閉じて休むのも選択肢です。

船酔いを悪化させやすい行動

船酔いしやすい方は、船内での何気ない行動が症状を悪化させることがあります。事前に避けたい行動を知っておくと安心です。

ここでは、船酔いを悪化させやすい行動について解説します。

スマートフォンや読書を続ける

船内でスマートフォンや本を見続けると、酔いやすくなります。

特に、細かい文字を読む、動画を見る、ゲームをするなどは、目の情報と体の揺れのずれが大きくなりやすいです。酔いやすい方は、乗船直後から画面を見る時間を短くしておくとよいでしょう。

においの強い場所に長くいる

船内では、食事のにおい、燃料のにおい、人混みのにおいなどが気になることがあります。

においは吐き気を強めることがあります。気持ち悪くなりそうなときは、においの強い場所を避け、換気のよい場所や外の空気を感じられる場所に移動できるか確認しましょう。

我慢して動き続ける

船酔いを感じ始めたときに、無理に歩き回ったり、食事を続けたりすると、症状が悪化することがあります。

早めに休む、画面を見るのをやめる、楽な姿勢を取るなど、軽いうちに対応することが大切です。船酔いは、気合いで押し切るより、早めの撤退が勝ちです。

船酔いしたときの対応

船酔いが起きたときは、まず無理をせず、症状を悪化させない環境を作ることが大切です。

ここでは、船酔いしたときの対応について解説します。

楽な姿勢で休む

気持ち悪くなったら、まず座るか横になり、楽な姿勢で休みます。

可能であれば、頭を安定させて、目を閉じると楽になることがあります。人混みやにおいがつらい場合は、船員に相談し、休みやすい場所へ移動できるか確認しましょう。

水分を少しずつ取る

嘔吐がある場合は、脱水に注意します。

一度にたくさん飲むと吐き気が強くなることがあるため、落ち着いてから少量ずつ水分を取ります。経口補水液を持っている場合は、状況に応じて使うこともあります。

船員に相談する

症状が強い場合や、どこで休めばよいか分からない場合は、船員に相談しましょう。

大型フェリーやクルーズ船では、休める場所や対応方法を案内してもらえることがあります。嘔吐を繰り返す、水分が取れない、意識がぼんやりする、強い頭痛や胸痛がある場合は、早めに助けを求めることが大切です。

子どもや高齢者の船酔い対策

子どもや高齢者と一緒の船旅では、早めの対策と体調確認が大切です。症状をうまく言葉にできない場合もあるため、様子の変化を見ておきましょう。

ここでは、子どもや高齢者の船酔い対策について解説します。

子どもは早めに休ませる

子どもは、気持ち悪さをうまく説明できないことがあります。

顔色が悪い、黙り込む、あくびが増える、機嫌が悪い、横になりたがるなどは、酔い始めのサインになることがあります。早めに画面を見るのをやめさせ、外の景色を見せたり、楽な姿勢で休ませたりしましょう。

子どもに酔い止め薬を使う場合は、対象年齢や用量を必ず確認します。

高齢者は転倒と脱水に注意する

高齢者では、船の揺れによる転倒に注意が必要です。

気分が悪いときに無理に歩くと、ふらついて転倒することがあります。移動するときは手すりを使い、急がずに歩きましょう。

また、嘔吐がある場合や水分摂取が少ない場合は、脱水にも注意します。持病や内服薬がある方では、早めに船員や医療機関へ相談した方が安心なことがあります。

持病がある場合は事前に相談する

心臓病、脳血管疾患、糖尿病、てんかん、重いめまい症状がある方などは、船旅の前に主治医へ相談しておくと安心です。

長時間の船旅では、途中で医療機関にかかりにくいことがあります。薬の持参、服用時間、体調が悪くなったときの対応を事前に確認しておきましょう。

受診や相談を考えたい症状

船酔いは、船を降りたり、揺れが止まったりすると軽くなることがあります。一方で、船酔いだけでは説明しにくい症状がある場合は、医療機関への相談が必要です。

ここでは、受診や相談を考えたい症状について解説します。

嘔吐を繰り返して水分が取れない

嘔吐を繰り返し、水分が取れない場合は、脱水に注意が必要です。

尿が少ない、口が強く渇く、ぐったりしている、めまいが強い場合は、早めに相談しましょう。子どもや高齢者では、脱水が進みやすいことがあります。

強い頭痛や意識の変化がある

船酔いでも頭痛やだるさが出ることはありますが、突然の強い頭痛、意識がぼんやりする、ろれつが回らない、手足が動かしにくい、けいれんがある場合は、船酔い以外の病気も考える必要があります。

このような症状がある場合は、すぐに船員へ相談し、救急対応を検討します。

船を降りても症状が長く続く

船を降りた後も、ふわふわする、揺れている感じが続くことがあります。多くは時間とともに軽くなりますが、症状が強い、数日以上続く、日常生活に支障がある場合は、医療機関へ相談しましょう。

まれに、下船後も揺れ感が長く続く状態が問題になることがあります。

船旅前のチェックリスト

船酔い対策は、出発前、乗船中、症状が出たときに分けて確認すると準備しやすくなります。

出発前の確認

  • 前日は睡眠を取る
  • 乗船前の食事は軽めにする
  • アルコールを控える
  • 酔い止め薬を準備する
  • 薬の対象年齢や注意点を確認する
  • 水分を用意する
  • エチケット袋を用意する
  • タオルやウェットティッシュを持つ
  • 乗船時間と船の揺れやすさを確認する
  • 持病がある場合は事前に相談する

船内での確認

  • 揺れにくい場所で過ごす
  • スマートフォンや読書を控える
  • 遠くの景色や水平線を見る
  • 頭を大きく動かさない
  • においの強い場所を避ける
  • 早めに休む
  • 水分を少しずつ取る
  • 症状が強いときは船員に相談する

下船後の確認

  • ふらつきがあるときは急に動かない
  • 水分を取る
  • 吐き気が続く場合は休む
  • 強い頭痛や意識の変化があれば相談する
  • 数日以上揺れ感が続く場合は受診を考える

まとめ

フェリーや船旅では、波や風による揺れが続くため、船酔いが心配になることがあります。

船酔いは、目から入る情報と内耳が感じる揺れのずれによって起こりやすく、吐き気、めまい、冷や汗、頭痛、だるさなどが出ることがあります。

対策としては、前日の睡眠、軽めの食事、酔い止め薬の準備、揺れにくい場所で過ごすこと、スマートフォンや読書を控えること、遠くの景色や水平線を見ることが大切です。

気持ち悪くなったら、無理に動かず、楽な姿勢で休みます。嘔吐を繰り返す、水分が取れない、意識がぼんやりする、強い頭痛や胸痛がある場合は、早めに船員や医療機関へ相談しましょう。

船酔いが心配な方も、事前に準備しておくことで船旅を楽しみやすくなります。無理のない計画と早めの対策で、安心して海の移動を楽しみましょう。

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るんるん
30代医師夫婦|旅行に役立つ情報発信|子どもは2人