持病がある人が旅行前に確認したいこと|安心して出発するための準備
旅行を計画しているときに、持病があると「旅行しても大丈夫かな」「旅先で体調が悪くなったらどうしよう」と不安になることがあります。
高血圧、糖尿病、喘息、心臓病、腎臓病、てんかん、アレルギー、妊娠中の体調管理など、普段は落ち着いている病気でも、旅行中は環境の変化によって体調が揺らぎやすくなることがあります。
ただし、持病があるからといって、必ず旅行をあきらめなければならないわけではありません。大切なのは、出発前に自分の体調を確認し、必要な薬や情報を準備しておくことです。
この記事では、持病がある人が旅行前に確認しておきたいポイントについて解説します。
持病がある人は旅行前に何を確認すればよい?

持病がある人が旅行前にまず確認したいのは、現在の病状が安定しているかどうかです。
普段から薬を飲んでいて症状が落ち着いている場合でも、旅行では睡眠不足、長時間移動、食事内容の変化、気温差、疲労などが重なることがあります。体にとっては楽しい予定も、なかなかの“イベント勤務”です。
特に、最近薬が変更になったばかりの人、症状が悪化している人、入院や救急受診をしたばかりの人は、旅行前に主治医へ相談しておくと安心です。
確認しておきたい内容は、次のような点です。
- 今の体調で旅行してよいか
- 長時間移動や飛行機に乗ってよいか
- 旅行中に避けた方がよい行動はあるか
- 体調が悪化したときの対応方法
- 旅行中の薬の飲み方
- 追加で持っていく薬が必要か
国内旅行であっても、旅先によっては医療機関まで距離があることがあります。海外旅行では、言葉や医療制度の違いもあるため、より早めの準備が必要です。
旅行前に主治医へ相談した方がよいケース

持病があっても、状態が安定していれば旅行できることは多くあります。一方で、次のような場合は、出発前に医療機関で相談しておくことをおすすめします。
- 最近、症状が悪化している
- 薬の変更や増量があった
- 入院や救急受診をしたばかり
- 息切れ、胸痛、強いむくみ、発作などがある
- 血糖値や血圧が不安定
- 酸素療法、インスリン、注射薬などを使用している
- 旅行先が海外、離島、山間部など医療機関に行きにくい場所
- 長時間のフライトや時差のある旅行を予定している
海外へ薬を持参する場合、薬の内容や使用目的を説明できる文書を携帯することが望ましいとされています。渡航先によっては、英文の診断書や証明書が必要になる場合もあります。
旅行中の薬は「多め」「分けて」「説明できる形」で準備する

持病がある人にとって、旅行中の薬の準備はとても重要です。
まず、普段飲んでいる薬は、旅行日数ぴったりではなく、少し余裕を持って準備しておきます。交通機関の遅れ、悪天候、体調不良による延泊などで、予定通り帰れないこともあるためです。
薬は、預け荷物だけに入れるのではなく、手荷物にも分けて入れておくと安心です。特に飛行機を利用する場合、荷物の紛失や到着遅れに備えて、必要な薬は機内持ち込み手荷物に入れておくとよいでしょう。FORTHでも、旅行用セットや薬は手元にあることが大切で、持ち込み禁止物以外は機内持ち込み手荷物に入れることがすすめられています。
また、薬はできるだけ元の包装や薬袋のまま持参します。薬の内容が分からない状態で持っていくと、空港や入国時、医療機関で説明しにくくなることがあります。
海外旅行では、次のものを準備しておくと安心です。
- 薬そのもの
- お薬手帳
- 処方箋や薬剤情報提供書のコピー
- 病名や薬の内容を説明できる文書
- 必要に応じて英文の診断書や薬剤携行証明書
国によっては、睡眠薬、向精神薬、医療用麻薬、一部の市販薬などの持ち込みに制限があることがあります。渡航先の大使館や公的情報で事前に確認しておきましょう。
病名や薬の情報をメモしておく

旅行中に体調を崩したとき、医療機関で自分の病気や薬を正確に伝える必要があります。
しかし、体調が悪いときに落ち着いて説明するのは難しいものです。普段は言えることでも、旅先では頭が真っ白になることがあります。スマホの充電が切れていると、さらに静かな絶望が訪れます。
そのため、スマートフォンだけでなく、紙でも情報を持っておくと安心です。
メモしておきたい内容は、次の通りです。
- 持病の名前
- 現在飲んでいる薬の名前
- 薬の量と飲むタイミング
- アレルギーの有無
- かかりつけ医療機関の名前と連絡先
- 緊急連絡先
- 保険証や医療証の情報
- 海外旅行保険の連絡先
海外旅行の場合は、英語で簡単に病名や薬の内容を書いたメモがあると役立つことがあります。糖尿病、心臓病、喘息、てんかん、重いアレルギーなどがある人は、特に準備しておくと安心です。
旅行先の医療機関を事前に確認しておく

旅行前には、旅先で体調が悪くなった場合に受診できる医療機関を調べておきましょう。
特に、子連れ旅行、高齢者との旅行、持病がある人の旅行では、事前に調べておくだけで安心感が変わります。
確認しておきたいのは、次のような情報です。
- 宿泊先の近くにある医療機関
- 夜間・休日に受診できる医療機関
- 救急外来の有無
- 小児科、内科、眼科など必要な診療科
- 旅行先の救急相談窓口
- 海外旅行保険の提携病院
国内旅行であれば、健康保険証、マイナ保険証、医療証、お薬手帳を忘れずに持参しましょう。
海外旅行の場合は、現地の医療費が高額になることがあります。持病がある場合は、海外旅行保険の補償内容や、持病・既往症がどこまで対象になるかも事前に確認しておくことが大切です。
移動中の体調管理も大切

旅行では、移動そのものが体に負担になることがあります。
長時間の車移動、電車移動、飛行機移動では、同じ姿勢が続きやすく、疲労や脱水も起こりやすくなります。心臓や肺の病気がある人、血栓症のリスクがある人、妊娠中の人、高齢者は、移動中の過ごし方も主治医に確認しておくと安心です。
移動中は、次のような点を意識しましょう。
- こまめに水分をとる
- 長時間同じ姿勢を続けない
- 休憩を予定に組み込む
- 無理な乗り継ぎや詰め込みすぎた予定を避ける
- 薬を飲む時間を忘れない
- 体調が悪い日は予定を変更する
旅行では「せっかく来たから」と予定を詰め込みたくなりますが、持病がある人にとっては、余白のあるスケジュールが一番の安全対策になることがあります。
食事や水分にも注意する

旅行中は、食事の時間や内容が普段と変わります。
糖尿病、高血圧、腎臓病、心臓病、消化器の病気がある人は、食事内容の変化が体調に影響することがあります。旅先の食事を楽しむことは大切ですが、制限がある人は「どこまでなら大丈夫か」を出発前に確認しておくと安心です。
糖尿病の人は、食事時間のずれ、活動量の変化、時差、体調不良によって血糖値が変動しやすくなります。インスリンや血糖降下薬を使っている人は、低血糖時に使えるブドウ糖や補食も準備しておきましょう。
高血圧や心臓病、腎臓病がある人は、塩分の多い食事や飲酒量にも注意が必要です。旅行中は外食が増えるため、普段より塩分が多くなりやすい点も意識しておきましょう。
旅行を延期した方がよいこともある

持病がある人でも、準備をすれば旅行できることは多くあります。
ただし、無理をして出発しない方がよい場合もあります。
例えば、発熱がある、強い息切れがある、胸の痛みがある、血圧や血糖値が大きく乱れている、発作が増えている、感染症にかかっている可能性がある場合などは、旅行を延期する判断も必要です。
旅行は、体調が整っていてこそ楽しめるものです。予定を変更することは残念ですが、体調を優先することは、次の旅行を楽しむための準備でもあります。
持病がある人の旅行前チェックリスト

出発前には、次の項目を確認しておきましょう。
- 現在の体調は安定している
- 主治医に旅行予定を相談した
- 必要な薬を多めに準備した
- 薬を手荷物と別の荷物に分けた
- お薬手帳や薬剤情報を持った
- 病名・薬・アレルギーのメモを作った
- 旅先の医療機関を調べた
- 保険証や旅行保険の情報を準備した
- 無理のないスケジュールにした
- 体調が悪いときは予定変更できるようにした
まとめ

持病があると、旅行前に不安を感じることがあります。
しかし、持病があるからといって、必ず旅行ができないわけではありません。大切なのは、今の体調を確認し、主治医に相談し、薬や医療情報を準備しておくことです。
旅行中は、睡眠不足、疲労、食事の変化、長時間移動などで体調が変わりやすくなります。予定を詰め込みすぎず、休憩を入れながら過ごすことも大切です。
不安がある場合は、出発前にかかりつけ医へ相談しておきましょう。準備をしておくことで、旅先で慌てる場面を減らし、旅行をより安心して楽しみやすくなります。
参考文献
- 厚生労働省:海外渡航先への医薬品の携帯による持ち込み・持ち出しの手続き
- 厚生労働省検疫所 FORTH:旅行前の準備
- 東京都健康安全研究センター:くすりの救急箱 海外渡航編
- 外務省 海外安全ホームページ:海外渡航・滞在時の注意情報