子連れ旅行では、移動中や旅先でさまざまな場所に触れる機会が増えます。

駅、空港、サービスエリア、ホテル、レストラン、観光施設、公園などでは、子どもが手すりやテーブル、遊具、座席、ドアノブなどを触ることも多くなります。

感染症を完全に防ぐことはできませんが、手洗いや手指消毒のタイミングを意識するだけでも、体調を崩すリスクを減らしやすくなります。特に、食事の前、トイレの後、外遊びの後、公共交通機関を使った後は、手を清潔にする習慣が大切です。

ここでは、子連れ旅行で意識したい手洗いと消毒について解説します。

子連れ旅行で手洗いと消毒が大切な理由

子どもは、旅行中にさまざまな場所を触り、その手で顔や口を触ることがあります。大人よりも行動が予測しにくく、手洗いのタイミングを逃しやすいこともあります。

ここでは、子連れ旅行で手洗いと消毒が大切な理由について解説します。

子どもは手でいろいろな場所を触りやすい

子どもは、駅の手すり、電車の座席、ホテルのリモコン、レストランのテーブル、公園の遊具など、興味のあるものをすぐに触ることがあります。

その行動自体は自然なものですが、手に付いたウイルスや細菌が、食事や顔を触ることで体に入ることがあります。感染症対策では、手についた汚れや病原体を減らすことが基本になります。

旅行中は生活リズムが乱れやすい

旅行中は、睡眠時間、食事時間、移動時間が普段と変わります。

疲れや睡眠不足があると、体調を崩しやすくなることがあります。さらに、外食や人混み、長時間移動が重なると、感染症にかかる機会も増えます。

手洗いや消毒は、旅行中でも比較的取り入れやすい感染対策です。難しいことを増やしすぎるより、できる場面で確実に行うことが大切です。

手を洗えない場面が多い

旅行中は、すぐ近くに手洗い場がないことがあります。

電車やバスの中、観光地の待ち時間、公園、屋外イベント、車移動中などでは、石けんと流水で手を洗えない場面もあります。そのようなときに、手指消毒剤やウェットティッシュを持っていると対応しやすくなります。

手洗いをしたいタイミング

旅行中の手洗いは、すべての場面で完璧に行う必要はありません。まずは、感染リスクが高くなりやすいタイミングを押さえることが大切です。

ここでは、手洗いをしたいタイミングについて解説します。

食事やおやつの前

食事やおやつの前は、手洗いを優先したいタイミングです。

旅行中は、移動中にパンやお菓子を食べたり、観光地で軽食を食べたりすることがあります。食べる前に手を洗う、手洗いが難しい場合は手指消毒をする、手づかみで食べるものは清潔な手で扱うなどを意識しましょう。

子どもは「早く食べたい」が先に来ることがあります。食事前の手洗いは、旅の儀式にしてしまうくらいがちょうどよいです。儀式といっても、手を清めて冒険に出るだけです。

トイレの後

トイレの後は、必ず手を洗いたい場面です。

駅や観光地のトイレでは、混雑していたり、洗面台が少なかったりすることがあります。石けんがない場合もあるため、手指消毒剤や携帯用の石けんを持っておくと安心です。

小さな子どもでは、トイレ後の手洗いが不十分になりやすいため、保護者が一緒に確認しましょう。

公共交通機関や遊具に触れた後

電車、バス、新幹線、飛行機などを利用した後は、手を清潔にするタイミングです。

つり革、手すり、座席テーブル、券売機、エレベーターのボタンなどは、多くの人が触れます。公園や屋内遊び場の遊具に触れた後も、食事前には手を洗うようにしましょう。

正しい手洗いのポイント

手洗いは、ただ水でぬらすだけでは不十分なことがあります。石けんを使って、指先や指の間、手首まで洗うことが大切です。

ここでは、正しい手洗いのポイントについて解説します。

石けんと流水で洗う

手や指についたウイルス対策では、洗い流すことが重要です。流水による15秒の手洗いだけでも手指のウイルスを減らせますが、石けんやハンドソープでもみ洗いし、流水ですすぐことでさらに減らせます。手洗いの後に毎回アルコール消毒を重ねる必要はありません。(厚生労働省)

旅行中でも、食事前やトイレ後など、手洗い場がある場面では石けんと流水を優先しましょう。

洗い残しやすい場所を意識する

手洗いでは、洗い残しやすい場所があります。

特に、指先、爪の周り、指の間、親指、手首は洗い残しやすい部分です。子どもは手のひらだけをこすって終わりがちなので、指先や親指も一緒に洗えるように声をかけます。

「手のひら、手の甲、指の間、親指、爪、手首」と順番を決めておくと、旅行中でも実践しやすくなります。

手を拭くものも大切

手を洗った後は、清潔なタオルやペーパータオルで水分を拭き取ります。

旅行中は、共用タオルではなく、ハンカチ、使い捨てペーパー、清潔なタオルを使うと安心です。濡れたハンカチを長時間使い続けると不衛生になりやすいため、予備を持っておくと便利です。

手指消毒を使う場面と注意点

手洗いができる場面では、石けんと流水が基本です。一方で、旅行中はすぐに手を洗えない場面も多いため、手指消毒剤を上手に使うと便利です。

ここでは、手指消毒を使う場面と注意点について解説します。

手洗いができないときに使う

手洗いがすぐにできない状況では、アルコール消毒液も有効です。厚生労働省は、手指など人体に使う場合には、品質や安全性が確認された医薬品または医薬部外品の表示があるものを使うよう示しています。(厚生労働省)

移動中、屋外、観光施設、食事前に手洗い場が見つからない場面では、手指消毒剤を活用しましょう。

汚れが目に見えるときは拭き取りや手洗いを優先する

泥、砂、食べこぼし、油汚れなどが手についている場合、消毒だけでは十分でないことがあります。

手が明らかに汚れているときは、まずウェットティッシュで拭き取るか、手洗い場で洗いましょう。その後、必要に応じて手指消毒を行います。

子どもが公園で遊んだ後や、食べ物で手がベタベタしているときは、消毒液を足すより先に汚れを落とすのが現実的です。

子どもに使うときは大人が管理する

アルコール消毒剤は、子どもが自分で大量に使ったり、目や口に入れたりしないよう、大人が管理します。

小さな子どもに使う場合は、手のひらに少量を出し、手全体に広げて乾くまで待ちます。アルコールは引火性があるため、火気の近くでは使わないようにしましょう。空間に噴霧する使い方は避けます。(厚生労働省)

移動中にできる感染対策

子連れ旅行では、新幹線、電車、飛行機、バス、車など、移動中の時間が長くなることがあります。移動中は手洗い場が限られるため、持ち物とタイミングが大切です。

ここでは、移動中にできる感染対策について解説します。

食べる前に手を清潔にする

新幹線や飛行機、車内でおやつや軽食を食べる前は、手を清潔にします。

手洗いができない場合は、ウェットティッシュで汚れを拭き取り、手指消毒剤を使うと対応しやすくなります。食べ物を床や座席に落とした場合は、無理に食べさせないようにしましょう。床に落ちたおやつは、もはや旅立ちました。見送る勇気も大切です。

座席まわりを必要に応じて拭く

長時間移動では、座席テーブル、肘掛け、画面、窓側のフレームなどを触ることがあります。

気になる場合は、除菌シートなどで軽く拭いてから使うと安心です。ただし、拭きすぎて負担になる必要はありません。食事に使うテーブルや、子どもがよく触る場所を中心に考えるとよいでしょう。

体調が悪いときは無理に移動しない

発熱、嘔吐、下痢、強い咳、ぐったりしている様子がある場合は、旅行や移動を見直すことも大切です。

感染対策は、手洗いや消毒だけではありません。体調が悪いときに無理に移動しないことも、本人と周囲を守る大切な対策です。

旅先の食事で意識したい衛生対策

旅行中は、外食、ビュッフェ、屋台、ホテルの朝食など、普段と違う食事の機会が増えます。食中毒や胃腸炎を防ぐためにも、手洗いと食品衛生を意識しましょう。

ここでは、旅先の食事で意識したい衛生対策について解説します。

食事前の手洗いを習慣にする

旅先では、食事前に手を洗う流れを作ると安心です。

レストランに入ったら、注文前や料理が来る前に手洗いを済ませておくと、食べ始める直前に慌てずに済みます。手洗い場がない場合は、手指消毒剤やウェットティッシュを使いましょう。

取り分けやビュッフェで注意する

ビュッフェでは、多くの人が同じトングやスプーンを使います。

料理を取る前後に手指衛生を意識し、子どもが料理を直接触らないように見守ります。取り分ける大人も、食事前に手を清潔にしておくと安心です。

手づかみで食べるものは特に注意する

パン、おにぎり、サンドイッチ、果物、お菓子など、手で持って食べるものは、手の衛生がそのまま影響しやすくなります。

小さな子どもでは、食べながらテーブルや椅子を触ることもあります。完璧を目指しすぎる必要はありませんが、食べ始める前だけでも手を清潔にしておきましょう。

宿泊先でできる感染対策

ホテルや旅館では、普段と違う部屋で過ごします。子どもは部屋に入ると、ベッド、リモコン、スイッチ、洗面台、床など、いろいろな場所に触れます。

ここでは、宿泊先でできる感染対策について解説します。

部屋に入ったら手を洗う

外から宿泊先に戻ったら、まず手を洗います。

観光や移動でさまざまな場所に触れた後は、部屋でくつろぐ前に手を清潔にすると安心です。子どもがベッドに飛び込みたい気持ちは分かりますが、まず手洗いを済ませる流れにしておくと習慣化しやすくなります。

よく触る場所を必要に応じて拭く

リモコン、ドアノブ、照明スイッチ、テーブル、洗面台の蛇口などは、家族がよく触る場所です。

気になる場合は、除菌シートなどで軽く拭いておくとよいでしょう。特に、食事を置くテーブルや、子どもがよく触る場所を中心に行うと負担が少なくなります。

タオルや歯ブラシを共有しない

旅行中は、タオルやコップ、歯ブラシを家族で共有しないようにします。

家族旅行ではつい近くにあるものを使ってしまうことがありますが、体調不良がある人がいる場合は特に注意します。子どものタオルやコップは分かりやすく分けておくとよいでしょう。

子どもに無理なく続けてもらう工夫

感染対策は、続けられる形にすることが大切です。子どもに厳しく言いすぎると、旅行そのものが窮屈になってしまうことがあります。

ここでは、子どもに無理なく続けてもらう工夫について解説します。

タイミングを決めておく

子どもには、手洗いの理由を長く説明するより、タイミングを決めておく方が伝わりやすいことがあります。

たとえば、次のように決めておきます。

  • ごはんの前
  • トイレの後
  • 外から戻った後
  • 遊んだ後
  • おやつの前

このように決めておくと、「今は手を洗うタイミング」と分かりやすくなります。

声かけを短くする

旅行中は、親も子どもも疲れています。

「ちゃんと洗いなさい」と何度も言うより、「ごはん前だから手を洗おう」「手をきれいにしてから食べよう」と短く声をかける方が伝わりやすいことがあります。

できたら褒める、家族みんなで一緒に洗うなど、前向きな流れにすると続きやすくなります。

持ち物を子どもにも分かる場所に入れる

ウェットティッシュや手指消毒剤を、保護者だけが分かる場所に入れていると、使いたいときに取り出しにくくなります。

子どもが自分で勝手に使う必要はありませんが、家族で「このポーチに入っている」と共有しておくと便利です。小さな旅の衛生ポーチを作っておくと、移動中にも使いやすくなります。

旅行中に持っておきたい感染対策グッズ

子連れ旅行では、感染対策グッズを多く持ちすぎると荷物になります。使う場面が多いものを中心に、手元に取り出しやすく準備しておくと安心です。

ここでは、旅行中に持っておきたい感染対策グッズを紹介します。

手元に置きたいもの

持っておきたいものは、次の通りです。

  • 携帯用手指消毒剤
  • ウェットティッシュ
  • ポケットティッシュ
  • 予備のハンカチ
  • 小さなタオル
  • マスク
  • ビニール袋
  • 体温計
  • 常用薬
  • 経口補水液の粉末やゼリー
  • 除菌シート

大きな荷物に入れるものと、座席やレストランで使うものは分けておくと便利です。

消毒剤は使いやすい形を選ぶ

手指消毒剤は、スプレー、ジェル、シートなど、いくつかのタイプがあります。

子連れ旅行では、こぼれにくく、すぐ取り出せるものが便利です。航空機を利用する場合は、液体物の持ち込みルールにも注意します。海外旅行では、現地で同じ製品が手に入るとは限らないため、使い慣れたものを準備しておくと安心です。

肌荒れ対策も考える

手洗いや消毒を繰り返すと、手が乾燥したり、荒れたりすることがあります。

保湿剤を小さな容器に入れて持っておくと、手荒れを防ぎやすくなります。子どもがアルコールでしみる、赤くなる、かゆがる場合は、無理に使い続けず、手洗いや拭き取りを中心にするなど調整しましょう。

受診や予定変更を考えたい症状

感染対策をしていても、旅行中に体調を崩すことはあります。大切なのは、早めに変化に気づき、無理に予定を続けないことです。

ここでは、受診や予定変更を考えたい症状について解説します。

発熱や強いだるさがある

発熱、強いだるさ、ぐったりしている様子がある場合は、予定を詰め込まず休ませます。

子どもでは、発熱があっても一時的に元気そうに見えることがあります。しかし、移動や観光で悪化することもあるため、休息を優先しましょう。

嘔吐や下痢がある

嘔吐や下痢がある場合は、感染性胃腸炎や食中毒なども考えます。

脱水に注意し、水分を少しずつ取ります。水分が取れない、尿が少ない、ぐったりしている、血便がある、強い腹痛がある場合は、医療機関への相談を考えます。

咳や息苦しさがある

咳が強い、息苦しそう、ゼーゼーしている、顔色が悪い場合は、早めに相談が必要です。

公共交通機関や人混みを利用する予定がある場合は、本人の体調だけでなく周囲への感染予防の面からも、予定の変更を検討しましょう。感染症対策では、手洗いに加えて咳エチケットも大切です。(厚生労働省)

子連れ旅行の手洗い・消毒チェックリスト

旅行中の感染対策は、タイミングと持ち物を決めておくと実践しやすくなります。

手洗い・消毒のタイミング

  • 食事やおやつの前
  • トイレの後
  • 公共交通機関を使った後
  • 公園や遊具で遊んだ後
  • 動物に触れた後
  • ホテルや宿に戻った後
  • 鼻をかんだ後
  • 咳やくしゃみを手で受けた後

持ち物の確認

  • 携帯用手指消毒剤
  • ウェットティッシュ
  • ポケットティッシュ
  • 予備のハンカチ
  • マスク
  • ビニール袋
  • 体温計
  • 常用薬
  • 保湿剤
  • 除菌シート

旅行中の行動

  • 食事前は手を清潔にする
  • 手が汚れているときは消毒より洗う・拭く
  • 子どもの手指消毒は大人が管理する
  • タオルや歯ブラシを共有しない
  • 体調不良があるときは予定を見直す
  • 咳や発熱があるときは人混みを避ける

まとめ

子連れ旅行では、駅、空港、ホテル、レストラン、観光施設など、さまざまな場所に触れる機会が増えます。

感染対策の基本は、食事前、トイレ後、外遊びの後、公共交通機関を使った後に手を清潔にすることです。手洗い場がある場合は、石けんと流水で洗いましょう。手洗いができない場面では、手指消毒剤やウェットティッシュを活用すると対応しやすくなります。

ただし、手が目に見えて汚れている場合は、消毒だけで済ませず、洗う・拭き取ることを優先します。子どもにアルコール消毒剤を使う場合は、大人が管理し、目や口に入らないように注意しましょう。

感染対策は、完璧を目指すより、続けやすい形にすることが大切です。ごはんの前、トイレの後、宿に戻った後など、家族でタイミングを決めておくと旅行中も実践しやすくなります。

体調不良があるときは、手洗いや消毒だけで乗り切ろうとせず、予定変更や受診も考えましょう。無理なくできる対策を取り入れて、家族で安心して旅行を楽しめる準備をしておきましょう。

参考文献・参考サイト

ABOUT ME
るんるん
30代医師夫婦|旅行に役立つ情報発信|子どもは2人