旅行中に子どもが急に「お腹が痛い」と言い出すと、保護者はとても不安になります。

「少し休めばよいのか」「食べすぎなのか」「病院に行くべきなのか」「予定を続けてもよいのか」と迷うこともあるでしょう。

子どもの腹痛は、便秘、食べすぎ、冷え、乗り物酔い、胃腸炎、緊張などで起こることがあります。一方で、強い腹痛や繰り返す嘔吐、発熱、ぐったりしている様子などがある場合は、早めに医療機関へ相談した方がよいこともあります。

旅行中は、普段と食事や生活リズムが変わり、移動の疲れも重なります。まずは子どもの様子を落ち着いて確認し、無理に予定を続けないことが大切です。

ここでは、旅行中に子どもがお腹を痛がるときの確認ポイントについて解説します。

旅行中に子どもがお腹を痛がりやすい理由

旅行中は、子どものお腹に負担がかかりやすい場面が増えます。

普段と違う食事、睡眠不足、移動の疲れ、冷たい飲み物、トイレを我慢することなどが重なると、腹痛につながることがあります。

ここでは、旅行中に子どもがお腹を痛がりやすい理由について解説します。

食事内容が変わりやすい

旅行中は、外食や買い食い、おやつ、甘い飲み物が増えやすくなります。

揚げ物、脂っこい料理、冷たい飲み物、食べ慣れない料理を多く取ると、胃腸に負担がかかることがあります。特に子どもは、旅行の楽しさで食べすぎてしまうこともあります。

「旅行だから少しくらい」と思いやすいですが、腹痛や下痢があるときは、食事を軽めにする方が安心です。

便秘やトイレの我慢が起こりやすい

旅行中は、移動時間や観光の都合でトイレに行くタイミングを逃しやすくなります。

また、環境が変わると便が出にくくなる子どももいます。便秘があると、下腹部の痛み、食欲低下、吐き気、機嫌の悪さにつながることがあります。

普段から便秘がある子どもでは、旅行中も水分、食事、トイレの時間を意識しておくとよいでしょう。

移動の疲れや緊張の影響を受ける

旅行中は、子どもにとって楽しい反面、慣れない場所で緊張したり、移動で疲れたりすることがあります。

疲れや緊張で胃腸の動きが乱れると、お腹の痛みとして出ることがあります。特に、乗り物酔い、睡眠不足、空腹、長時間の移動が重なると、腹痛や吐き気が出やすくなります。

まず確認したい子どもの様子

子どもがお腹を痛がるときは、痛みの場所だけでなく、全身の様子を見ることが大切です。

子どもは症状をうまく言葉にできないことがあり、「お腹が痛い」と言っていても、吐き気、便秘、発熱、疲れ、不安などが関係している場合があります。

ここでは、まず確認したい子どもの様子について解説します。

いつから痛いか

まず、いつから痛みがあるかを確認します。

急に強く痛がり始めたのか、少し前から痛みが続いているのか、食後に痛くなったのか、移動中に痛くなったのかを見ます。

短時間で落ち着く軽い腹痛もありますが、痛みがどんどん強くなる、何時間も続く、歩けないほど痛がる場合は注意が必要です。

どこが痛いか

子どもに、痛い場所を指で示してもらいます。

おへその周り、みぞおち、下腹部、右下腹部など、痛む場所によって考える原因が変わることがあります。ただし、小さな子どもでは痛みの場所を正確に言えないこともあります。

右下腹部の痛みが強い、歩くと響く、ジャンプを嫌がる、発熱や嘔吐を伴う場合は、虫垂炎なども考える必要があります。

顔色や元気があるか

腹痛のときは、顔色、元気、反応も確認します。

顔色が悪い、ぐったりしている、呼びかけへの反応が弱い、泣き方がいつもと違う、横になったまま動きたがらない場合は、早めの相談を考えます。

一方で、痛がりながらも会話ができ、水分が取れて、痛みが軽くなってくる場合は、休ませながら様子を見る場合もあります。

腹痛と一緒に確認したい症状

子どもの腹痛では、腹痛だけでなく、発熱、嘔吐、下痢、便秘、血便、発疹などがないかを確認します。

症状の組み合わせによって、受診の必要性が変わることがあります。

ここでは、腹痛と一緒に確認したい症状について解説します。

発熱があるか

腹痛に発熱を伴う場合は、感染症や炎症が関係していることがあります。

胃腸炎、虫垂炎、尿路感染症などでも、腹痛と発熱が一緒に出ることがあります。発熱がある場合は、体温だけでなく、元気があるか、水分が取れるか、呼吸が苦しくないかも確認しましょう。

発熱があり、腹痛が強い、ぐったりしている、嘔吐を繰り返す場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

嘔吐や下痢があるか

腹痛に嘔吐や下痢を伴う場合は、胃腸炎や食あたりなどが考えられます。

旅行中は、食事内容や水分、衛生環境が変わりやすいため、胃腸症状が出ることがあります。嘔吐や下痢がある場合は、脱水に注意します。

水分を少しずつ取れるか、尿が出ているか、口が乾いていないかを確認しましょう。

便が出ているか

腹痛の原因として、便秘もよくあります。

旅行中はトイレを我慢したり、水分や野菜が少なくなったりして、便秘になりやすくなります。何日便が出ていないか、便が硬くないか、排便後に痛みが軽くなるかを確認します。

ただし、便秘と思っていても、強い痛みや嘔吐、発熱を伴う場合は別の病気が隠れていることもあります。

旅行中に多い腹痛の原因

旅行中の子どもの腹痛には、いくつかよくある原因があります。

原因をその場で正確に判断するのは難しいこともありますが、考えやすいパターンを知っておくと、対応しやすくなります。

ここでは、旅行中に多い腹痛の原因について解説します。

便秘

旅行中は、環境の変化や水分不足、トイレの我慢で便秘になりやすくなります。

便秘による腹痛では、おへその周りや下腹部を痛がることがあります。お腹が張る、食欲が落ちる、便が硬い、排便後に楽になるなどの様子が見られることもあります。

普段から便秘がある子どもでは、旅行前から排便リズムを整えておくと安心です。

胃腸炎や食あたり

嘔吐、下痢、腹痛、発熱がある場合は、胃腸炎や食あたりが考えられます。

旅行中は、外食、屋台、冷たい飲み物、食べ慣れない料理などで胃腸に負担がかかることがあります。海外旅行では、水や氷、生ものにも注意が必要です。

嘔吐や下痢がある場合は、無理に食べさせず、水分を少しずつ取ることを優先します。

食べすぎや冷え

旅行中は、普段より食べる量が増えたり、冷たいものを多く取ったりしやすくなります。

食べすぎや冷えによる腹痛では、しばらく休むと落ち着くこともあります。腹痛があるときは、脂っこい食事や冷たい飲み物を控え、消化のよいものを少量にしましょう。

乗り物酔いや疲れ

車、バス、新幹線、船、飛行機などの移動中に、吐き気や腹痛を訴えることがあります。

乗り物酔いでは、気持ち悪さ、顔色の悪さ、冷や汗、あくび、眠気を伴うことがあります。スマートフォンや読書をやめ、楽な姿勢で休ませるとよいでしょう。

旅行中にできる家庭での対応

子どもがお腹を痛がるときは、まず無理をさせず、休ませることが基本です。

腹痛があるのに予定を続けると、症状が悪化したり、受診の判断が遅れたりすることがあります。

ここでは、旅行中にできる家庭での対応について解説します。

まず休ませる

腹痛があるときは、歩き回らせず、静かな場所で休ませます。

観光中であれば、ベンチ、宿泊先、休憩室など、落ち着ける場所へ移動します。移動中であれば、次の駅や休憩場所で降りて様子を見ることも考えます。

子どもは「大丈夫」と言っていても、旅行を続けたい気持ちから無理をしていることがあります。

水分を少しずつ取る

腹痛に嘔吐や下痢を伴う場合は、脱水に注意します。

水、お茶、経口補水液などを少量ずつ取ります。一度にたくさん飲ませると、吐き気が強くなることがあるため、少しずつが基本です。

水分を受け付けない、尿が少ない、ぐったりしている場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

食事は無理に食べさせない

腹痛があるときは、食欲がなければ無理に食べさせる必要はありません。

食べられる場合は、おかゆ、うどん、スープ、バナナ、ゼリーなど、胃腸に負担が少ないものを少量にします。

脂っこいもの、冷たい飲み物、炭酸飲料、甘いお菓子、刺激の強い食べ物は控えめにしましょう。

受診を考えたい腹痛のサイン

子どもの腹痛の多くは、休息や排便、水分補給で落ち着くこともあります。

一方で、早めに受診を考えた方がよいサインもあります。

ここでは、受診を考えたい腹痛のサインについて解説します。

痛みが強い、または続く

強く痛がる、泣き続ける、体を丸めて動けない、歩くと痛がる、痛みが何時間も続く場合は注意が必要です。

痛みが一度よくなっても、繰り返し強くなる場合も受診を考えます。旅行中は「もう少し様子を見よう」となりがちですが、強い腹痛は早めの判断が大切です。

右下腹部を痛がる

右下腹部の痛みが強い場合は、虫垂炎なども考えます。

おへその周りから始まった痛みが右下腹部に移る、歩くと響く、ジャンプを嫌がる、発熱や嘔吐を伴う場合は、医療機関へ相談しましょう。

嘔吐を繰り返す、水分が取れない

嘔吐を繰り返し、水分が取れない場合は、脱水に注意が必要です。

尿が少ない、口が乾く、涙が少ない、ぐったりしている場合は、早めに受診を考えます。特に小さな子どもでは、脱水が進みやすいことがあります。

血便や黒い便がある

血便、黒い便、強い腹痛を伴う下痢がある場合は、早めに医療機関へ相談します。

食あたりや感染症などが関係することもあります。便の色や回数、発熱の有無を確認しておくと診療時に役立ちます。

夜間や休日に迷ったときの相談先

旅行中は、かかりつけ医にすぐ相談できないことがあります。

特に夜間や休日は、受診するべきか、朝まで待てるか迷うこともあります。

ここでは、夜間や休日に迷ったときの相談先について解説します。

#8000を利用する

子どもの症状で夜間や休日に迷う場合は、#8000が選択肢になります。

#8000は、子どもの急な病気やけがについて、小児科医師や看護師に電話で相談できる仕組みです。住んでいる都道府県の相談窓口につながり、症状に応じた対処や受診の目安について助言を受けられます。

旅行先では、地域によって実施時間が異なることがあるため、つながりにくい場合は宿泊先や地域の救急相談窓口も確認しましょう。

宿泊先に近い医療機関を確認する

旅行中は、宿泊先の近くにある小児科、夜間休日診療所、救急外来を確認しておくと安心です。

腹痛が強い場合や、嘔吐・下痢・発熱がある場合は、どこに相談できるかを早めに調べます。ホテルや旅館のフロントで、近くの医療機関を教えてもらえることもあります。

迷う症状があるときは早めに相談する

子どもの腹痛は、見た目だけで判断しにくいことがあります。

「いつもと違う」「ぐったりしている」「痛がり方が強い」と感じる場合は、無理に予定を続けず、早めに相談しましょう。旅行中の受診は大変ですが、迷ったまま移動を続ける方が負担になることもあります。

旅行前に準備しておきたいもの

子どもの腹痛は、旅行中に突然起こることがあります。

必要なものを準備しておくと、慌てずに対応しやすくなります。

ここでは、旅行前に準備しておきたいものを紹介します。

体調管理グッズ

子ども連れ旅行では、次のようなものを準備しておくと安心です。

  • 体温計
  • 常用薬
  • 経口補水液の粉末やゼリー
  • 水分補給用の飲み物
  • エチケット袋
  • ウェットティッシュ
  • タオル
  • 着替え
  • ビニール袋
  • 母子健康手帳
  • 健康保険証
  • 子どもの医療証
  • お薬手帳

すぐ取り出せるように、スーツケースではなく手荷物に入れておくと便利です。

普段の便通や薬を確認しておく

普段から便秘がある子どもでは、旅行前に排便リズムや薬を確認しておきましょう。

普段使っている便秘薬や整腸剤がある場合、旅行中も使えるように準備します。新しい薬を旅行中に初めて使うより、普段から使い慣れているものを医師や薬剤師に確認して持参する方が安心です。

受診先を調べておく

旅行前に、宿泊先周辺の小児科や夜間休日診療所を調べておくと安心です。

海外旅行では、旅行保険の連絡先や日本語対応が可能な医療機関を確認しておきましょう。腹痛、嘔吐、下痢は旅行中に起こりやすい症状なので、事前に確認しておく価値があります。

旅行中の腹痛チェックリスト

子どもがお腹を痛がるときは、確認することを整理しておくと判断しやすくなります。

まず確認すること

  • いつから痛いか
  • どこが痛いか
  • 痛みが強くなっているか
  • 発熱があるか
  • 嘔吐があるか
  • 下痢があるか
  • 便が出ているか
  • 水分が取れるか
  • 尿が出ているか
  • 顔色や元気はどうか
  • 歩けるか
  • 旅行中に何を食べたか

まず行うこと

  • 予定を中断して休ませる
  • 水分を少しずつ取る
  • 食事は無理に取らせない
  • トイレに行けるか確認する
  • 体温を測る
  • 嘔吐や下痢に備えて袋や着替えを用意する
  • 症状の時間経過を記録する
  • 必要に応じて#8000や医療機関へ相談する

受診を考えるサイン

  • 強く痛がる
  • 痛みが続く
  • 右下腹部を痛がる
  • 歩くと響く
  • 嘔吐を繰り返す
  • 水分が取れない
  • 尿が少ない
  • 血便や黒い便がある
  • 発熱を伴う
  • ぐったりしている
  • 顔色が悪い
  • 呼びかけへの反応が弱い

まとめ

旅行中に子どもがお腹を痛がると、予定を続けるか、休ませるか、受診するか迷いやすくなります。

まずは、いつから痛いか、どこが痛いか、発熱や嘔吐、下痢、便秘があるか、水分が取れるか、元気があるかを確認しましょう。

軽い腹痛でも、旅行中は移動や外食、睡眠不足で体に負担がかかりやすくなります。無理に観光を続けず、いったん休ませることが大切です。

強い腹痛、右下腹部の痛み、嘔吐を繰り返す、水分が取れない、血便、ぐったりしている、呼びかけへの反応が弱い場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

夜間や休日に判断に迷う場合は、#8000も選択肢になります。旅行前には、体温計、経口補水液、エチケット袋、母子健康手帳、保険証、医療証などを準備し、宿泊先周辺の相談先も確認しておくと安心です。

旅行中の腹痛では、予定よりも子どもの体調を優先することが大切です。早めに休ませ、必要なときに相談できる準備をしておきましょう。

参考文献・参考サイト

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